2012 Fiscal Year Research-status Report
陶器表面性状不規則性が有する癒しの高精度な定量評価
Project/Area Number |
24603023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
酒井 孝 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (50336517)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フラクタル / 癒し / 陶器 / FFT |
Research Abstract |
陶器の表面性状不規則性が有する癒しの効果について、(a) FFT解析から得られる1/fxゆらぎ,および(b)フラクタル幾何学によるフラクタル次元D、の2つを組み合わせて高精度に定量評価することを目的としている。フラクタル解析については、陶器表面の3サイズの解析領域について解析を行い、フラクタル図形の特長である自己相似性についても評価する。癒しが高精度に定量化できれば、身の回りの構造物の無機質な表面形状に癒しの付加価値を付与できる転写加工の実現に繋がる。この技術が確立できれば日常生活品をはじめ応用先は無限大であり、今日のストレス社会への波及効果は多大である。平成24年度は、ボックスカウント法を解析対象全体に拡張することで陶器全体を対象としたフラクタル解析プログラムを作成して、新たな解析方法の確立を試みた。今回解析を行った4種類の陶器のフラクタル解析を行い、以下の結果を得た。 (1)これまで陶器の表面性状を定量評価するフラクタル解析は測定範囲が解析対象の一部であった。本研究ではボックスカウント法を陶器全体に対象を拡張することで、新たなフラクタル解析法を確立できた。この試みはフラクタル定量評価の高精度化に繋がる。 (2)4種類の解析対象から取得した3Dデータがより立体に近い形状を有していたため、フラクタル次元は約D=2.8という結果が得られ、3.0に近い値が得られた。 (3)陶器ごとに癒しや温かみを定量的に評価することはできなかった。見た目や手触りといったより微視的な事象の定量的評価を行うには今後はより細分化を細かく行ったフラクタル解析が望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の研究課題は主として以下の2点であり、(1)については概ね完了、(2)についてはまだ準備段階にあり、総合的に評価として「(3)やや遅れている」と判断した。 (1) 2.0≦D<3.0の実数次元に拡張したフラクタル解析プログラムの作成(メッシュ法の改良、ヤードスティッ ク法の作成)→この課題については、ボックスカウント法を陶器全体に対象を拡張することで、新たなフラクタル解析法を確立できた。この新たに提案したフラクタル解析法を用いて、陶器表面のフラクタル次元を定量的に算出し、これまでに得られた値と直接比較した。 (2) 触針式粗さ計により解析対象を計測(縦200点,横200点:約20種類の解析対象の陶器全てに関して)→この課題については、依然準備段階にあり着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度で完了していない研究課題を含めて、平成25年度の研究課題は主として以下の2点とした。 (1) 24年度に作成したプログラムを用いて陶器表面の高精度なフラクタル解析を実施→この課題について、すでに平成24年度でボックスカウント法を陶器全体に対象を拡張したフラクタル解析プログラムを作成した。これまでに4つの解析対象についてフラクタル解析を実施したが、平成25年度はこの解析対象をさらに8つ追加して合計12に対して解析を行う。 (2) 24年度に測定した触針式粗さ計から得られた凹凸プロファイルのFFT解析→この課題について、平成24年度は計測が完了していない。したがって、平成25年度は当初予定の測定を含めて、このデータから得られた凹凸プロファイルのFFT解析についても連続的に行う。この実施のために学生アルバイトの雇用を多少増員して、課題実施に取り組む計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
概ね当初の予定どおりの支出を考えている。平成24年度に未着手であった課題の取り組みに対しては、平成25年度物品費の100千円と平成24年度からの繰り越し・約366千円があるので、費用面では問題なく実施できる。また、上記のように、触針式粗さ計によるデータ測定と、これから得られた凹凸プロファイルのFFT解析の補助として学生アルバイトを増員する計画であるが、当初より謝金を50千円計上しているのでこれも問題ない。 その他研究発表旅費に関しては、当初の計画通りである。
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