2013 Fiscal Year Research-status Report
環境音を考慮したサイン音のデザインプロセスの構築と標準化への研究
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24603024
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川上 央 日本大学, 芸術学部, 教授 (20307888)
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Keywords | スペクトルセントロイド周波数 / 狭帯域ノイズ / センシング / RaspberryPi / サイン音 |
Research Abstract |
本年度は暗騒音の発生モデルから音響特性を分析し、サイン音のパラメタの最適化を行った。この予想モデルから生成される環境音予想モデルを音響解析し、周波数特性から共鳴周波数、スペクトルセントロイド、周波数成分の時間包絡などの情報から、目的とするサイン音の状況に応じて、基本周波数(f0)、周波数成分、時間包絡などのパラメタを決定する。公共空間で使用されるサイン音は多くあるが、この研究では、危険性についてプライオリティを付け、命に関わる危険度から一般的な注意喚起までを5段階程度に分け、それぞれの危険度に応じて、最適なサイン音をパラメタを変えて数種類作成した。 また暗騒音予想モデルを考慮に入れてデザインされた上記のサイン音について、評価実験を行った。実験方法は、暗騒音のない状態と、暗騒音予想モデル下での状態の両方について、一対比較法などによる官能評価を行い、各危険度に最適な音の順位付けを行う。この順位結果とサイン音生成時のパラメタとの関係について検討を行い、サイン音の高さや成分、長さなどについて、有効な指標を抽出する。また、暗騒音とサイン音について、メル尺度やラウドネスなどの心理尺度との検討も行い、暗騒音のスペクトルセントロイド周波数からピッチへの心理尺度の線形モデルを構築した。 またこの線形モデルを利用して、暗騒音を自動的に分析し、最適なピッチでサイン音を自動再生できるデバイスの開発も行った。小型コンピュータRaspberryPiを利用して、マイクロフォンから入力された環境音の信号を、解析し、リアルタイムに環境音に調和するピッチでサイン音を再生させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノンパラメトリックベイズに基づくBSS 手法による環境音の自動弁別を予定していたが、現在のところ、リアルタイム性に乏しいため、スペクトルセントロイド周波数を算出することにより、環境音の調和するシステムに移行している。BSS手法も同時に検討中であるが、研究目的に沿ったものにするためには、アルゴリズムの最適が必要と考え、その部分は達成していない。しかしながら、先の方法によりサイン音の評価実験を行った結果、研究目的に適合するモデルが完成してきたので、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果に基づき、暗騒音下で使用される公共空間のサイン音についてのデザインプロセスについての検討を行う。特に、サイン音のパラメタ決定と、作成されたサイン音の評価方法について言及し、サイン音のデザイン手法を評価まで含めたプロセスとしてガイドライン化を計る。さらに、このガイドラインの標準化を目標としているため、日本人だけでなく、外国人にも評価実験に参加してもらい、国際的な標準化を狙う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際会議への出席を見越していたが、本務校業務と重なり、キャンセルした。 国際会議への発表を予定している。
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