2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24603029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
西山 紀子 京都橘大学, 現代ビジネス学部, 助教 (40509626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 俊子 京都橘大学, 看護学部, 教授 (00232992)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 院内助産システム / 助産外来 / 院内助産 / 助産師 / 妊産婦ケア空間 / 建築計画 / インテリア計画 |
Research Abstract |
本研究は、院内助産システムにおける空間整備について分析、考察を行い、今後の病棟改築や新築の計画、設計に資する基礎資料を構築することを目的としている。 院内助産システムはまだ新しい試みといえる段階にあるため、建築計画上の十分な考察が行われているとは言い難い。現在どのような空間状況下で助産外来や院内助産が行われているのかを、明らかにすることが必要とされている。そこで平成24年度は、医療者・利用者の双方から空間の果たす役割の重要性がより多く指摘される院内助産を取り上げ、関連する室の計画と使用実態、およびこれらに対する助産師の認識や評価を明らかにすることを試みた。 院内助産に従事する助産師を対象に、①図面に基づき院内助産に関連する諸室についての説明、②分娩入院から児娩出、回復終了までにおいて、妊産婦が主に使用する室の状況のヒヤリング、③各室について良い点と要改善点のヒヤリング、の3つの調査を実施した。結果、設営の概念により室タイプを抽出し、タイプごとで配置、型式・形式、専用性に特性のあることを明らかにしつつある。また、お産を取り巻く施設的環境の要因(空間の量、空間の質、設備、備品・什器等、配置)が、妊産婦や家族、および医療者とどのような関係性を持つかを、タイプごとに考察し、①妊産婦と妊産婦の家族が自由に過ごせる余裕あるスペースの必要性、②病院特有の雰囲気を出さない工夫と、必要とされる医療活動に対する環境整備という、相反する要因、③平座位、椅座位といったお産の形式に対応した設備や自由度の高い備品・什器等の整備の重要性、④通常の助産活動と、緊急対応等非常時の活動とを両立させる合理性、等のしかるべき要件を認めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は院内助産を導入している医療施設の事例分析によるものである。研究進捗がやや遅れていることに関する理由は以下のの2つがあげられる。 1)研究倫理審査による。 一般に、医療施設内での調査を伴う研究は倫理上の配慮に関する審査が厳しく、また、審査のうえ許可を受けなければ、研究を進めることは難しいとされる。本研究に関わる2件の調査研究も所属大学研究倫理委員会の審査を受けたが、①「院内助産システムにおける空間」というこれまでにない研究対象、②「看護学部との共同」というこれまでにない研究体制、の2点に関し、許可まで審議に時間を要し、調査開始が当初予定より遅れた。さらに場合によっては、医療施設側の倫理委員会の審査、許可を受ける必要が生じることもあり、調査開始に一層の遅れが生じた。 2)研究協力機関確保困難による。 全国で院内助産システム導入を標榜する施設を厚生労働省の資料より70余を抽出し、郵送により研究協力を依頼したが、承諾は2割程度にとどまっている(非協力の理由は業務繁忙が最も多い)。承諾を得た医療施設は全国に点在するうえ、先方の都合に合わせなければならないことから、調査実施が非効率的であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究に関しては研究倫理委員会の審査期間を通常より長いものと考え、早めの研究計画立案、委員会提出を行うようにするなど、スケジューリングを見直す。 研究協力期間確保については、現在協力が得られている医療施設に対し、一連の研究として理解を得、引き続いての協力が得られるよう努力する。また新たに協力が得られるよう、研究分担者はじめ看護学部教員の応援を得て、再度依頼を申し出るようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に研究倫理審査を受け、許可を得た調査研究は2件である。 1件(研究実績の概要記載分)については、研究分担者と協力し、研究協力機関確保に努める。承諾が得られた医療施設には、先方が許す限り早く調査に赴くようにする。また、得られたデータはアルバイトのサポートを受けるなどして急ぎ整理する。平成24年度において調査開始および実施がやや遅れたことによりに施行できなかった研究費は、この調査に係る費用とする。 もう1件はアンケート調査である。すでに郵送で研究協力を依頼しているが、さらに電話連絡や訪問等で詳細についての説明を行い、研究協力機関確保に努める。承諾が得られた医療施設に対しては、先方が許す限り早く調査を実施することとし、調査票の送付および回収、データの整理をサポートするアルバイトなどに費用を充当して、スムーズに研究を進めるよう努める。
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Research Products
(1 results)