2012 Fiscal Year Research-status Report
色弱に配慮した服薬安全に資する「服薬トレー」の開発研究
Project/Area Number |
24603033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
石崎 真紀子 兵庫医療大学, 薬学部, 研究員 (20623979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 初男 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (00229311)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 服薬の安全安心 / ユニバーサルデザイン / ユーザビリティ調査 / 識別性 / カラーユニバーサルデザイン / 色弱 |
Research Abstract |
患者自らが「服薬前に薬を確認し確実に服用する」ための新しい服薬習慣を構築するための服薬トレー(第2段階)のサンプルが、ユーザーにとって使いやすさを実現するデザインになっているか,有効性を実感するかを評価するために、「高齢者・障害者配慮設計指針-包装・容器-使用性評価方法(JIS S 0022-4:2007)」に準じ、主に使用時における評価を行った。 服薬トレーの企画コンセプトといえる4つの服薬トレーのユニバーサルビジョン「安全のためのデザイン」「簡単に使えるデザイン」「日常的に使えるデザイン」「愛着のわくデザイン」の観点から使用感について31問、使用方法について4問の調査票を策定した。 回答は,5段階評価で、処方薬を1日1回3錠以上服用している患者と、患者を介護している人20名(男性14名、女性6名;40代1名、50代1名、60代3名、70代7名、80代以上8名)に評価させた。結果はレベル5(よい)を100、レベル4(ややよい)を75、レベル3(どちらともいえない)を50、レベル2(ややよくない)を25、レベル1(よくない)をゼロと重み付けて数値化した。 調査の結果、全問60点以上、80点以上が31問中24問と非常に評価が高かったことから、服薬トレーは「ユニバーサル・デザインミッション」である「服薬前に自分で服用する薬を確認し確実に服用する」という服薬ミス低減のための新しい服薬習慣の構築に有効であり、効果が実感として感じられるツールであり、デザインについても相対的に高い評価であることが明らかになった。 一方、取扱説明書のわかりやすさと、識別色そのものに対するに評価が他の項目に比べはやや低い評価であった。視覚的に直感で使い方がわかる工夫、識別カラーに対する説明などの課題が明確になり、次回のサンプルの方向性や色弱者向けの服薬トレーの開発について参考となるものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ユーザビリティ調査については結果の集計、考察を含め完了し、論文にまとめ投稿中である。また、調査によって見いだされた改良点についても対策を講じ、現在セカンドサンプルを制作中である。また、色弱者への実験については、3月に実施すべく、準備を完了していたが、現在、倫理審査の審議を受けているところであり、決定を待ち、今夏に実施する予定で進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
色弱者への調査研究を実施する 1)背景色に対する評価 これまでに行った実験の中で,色弱疾患モデルにおける識別性には,健常者および白内障疾患モデルでの評価とは異なり,明度差に偏らず,彩度差,色相差の影響が示唆された.この結果が色弱者においても同様か、また新たな示唆があるのかを確認すべく実験する。 2)背景の方眼の形状についての効果 先の実験で,背景色に入る方眼の効果は,唯一,色弱の疾患モデルで,方眼がある方が対象物の色を識別しやすいという結果を得ている.これは新たな示唆である,色弱者においても同様の結果が得られる場合、方眼の太さ,間隔,また方眼以外の形状など,背景が単色でなく配色の場合のいくつかのパターンを設定し,色弱における識別性の特性と最適な方眼形状を同様な評価実験により明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費:色弱者における調査研究(5回×東京/CUDO),学会・セミナーへの参加・研究成果発表 謝礼:実験参加者(10~20名),コーディネート料(CUDO) 消耗品費:色弱、色彩心理等情報の収集のための文献資料等,モデル評価系用消耗品(調色色紙,実薬など),データ解析用消耗品(メモリ,ソフトなど),服薬トレーの試作品外注費
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