2012 Fiscal Year Research-status Report
医療過誤防止と服薬アドヒアランス向上に資する医薬品カラーデザイン戦略の確立
Project/Area Number |
24603034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
前田 初男 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (00229311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 真紀子 兵庫医療大学, 薬学部, 研究員 (20623979)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カラーユニバーサルデザイン |
Research Abstract |
日本人が医薬品の色彩として許容できる色彩を評価する実験系を確立するために,予備実験を行った.その実験には,研究実施計画に従い,同色相,同明度で,彩度が chroma 値として 2 程度ずつ異なる色票 5 種類を円形に切り取り,彩度が最も低い色票を左側に最も高い色票を右側に横一列かつ等間隔に貼付けた評価シートを用いて行った.尚,切り取った円の直径は錠剤に一般的な 7 mm とし,色相 10 種類について同様な評価シートを作成した.また,色票には,予備実験であることを考慮し,色彩を測定した結果を踏まえ,DIC 色見本を用いた.これらの評価シートを用いて,学生22名が,それぞれの色相において,どの彩度の色まで医薬品として服用できるかを評価した.その結果,この実験系が,本研究の目的に不適切な可能性が示唆された.すなわち,評価者である学生たちは,医薬品として服用できる色彩と服用できない色彩を,5 種類の色彩を比較検討しながら判断したことが,評価後の聞き取り調査により判明した.つまり,個々の色彩について判断したのではなかった.そこで,評価実験系を再検討した.その結果,日本色彩研究所が行っている「色彩心理評価実験」系を本研究に適用することにした.すなわち,以下の手順にて評価実験を実施することにした.(1) 同色相,同明度で彩度が異なる 5 色彩からなる錠剤を,10 色相について着色錠剤を作成する.(2) 着色した 50 錠剤すべてを白色色紙の上にバラバラに置く.(3) それらの中から,評価者が「絶対に服用できる錠剤」と「絶対に服用できない錠剤」を抽出する.(4) 「絶対に服用できる錠剤」と「絶対に服用できない錠剤」,そして「どちらにも判断されずに白色色紙上に残った錠剤」の色彩の分布を解析する.これまでに,着色した錠剤の生成方法について検討し,その方法等に関するノウハウを確立している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
同色相,同明度で彩度が異なる 5 種類の色彩を貼付けた評価シートを用いて基礎検討を行ったが,評価者が,同色相,同明度の色群の円形色票を比較しながら,服用の可否を判断するとは考えていなかった.そのため,色彩心理学的な実験系として不適切であることが,実験を進めてから判明したため,研究計画に遅れが生じた.しかし,着色した錠剤の作成方法については,ほぼ確立できているため,平成24年度の遅れを平成25年度に取り戻せると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
色素としてアルミニウムレーキ食用色素を,賦形剤として結晶セルロース・アビセルを用いることにより,均一に着色した錠剤を成形できることを見出している.これまでに,赤,青,黄色の色相からなり,同明度で,Chroma 値で 2 程度ずつに異なる色彩からなる着色錠剤の作成について,賦形剤と色素の混合比の観点から,確立している.現在,他の色彩により着色した錠剤の作成に取りかかっている.最終的には 10 色相 50 色彩の錠剤を評価実験用に作成する.これらを用いて,「絶対に服用できる色彩」と「絶対に服用できない」を判定基準に,20 歳代,30 歳代,40 歳代,50 歳代,60 歳代,70 歳代以上の 6 群において 10~20 人の研究対象者について実施する.また,それぞれの年代における男女比は 1 : 1 を目標とする.また,同様な実験を白内障疑似体験ゴーグルまたは色弱疑似体験ゴーグルを装着した 20 歳代の健常色覚者を評価者として実施する.これらの結果を統計解析することにより,年代別ならびに白内障や色弱の場合における医薬品として服用できる色彩を色相,明度,彩度を明らかにする.また,必要ならば,他の明度からなる色彩に着色した錠剤も作成し,同様に評価実験および結果の統計解析を実施する.それらの知見をもとに,医薬品を着色する際のカラーデザイン指標を提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
統計処理ソフトの購入と更新,統計処理,調色などに関する書物,着色錠剤の作成に必要な原材料費と打錠機の付属消耗品,着色錠剤の測色に用いる測色計の付属消耗品,学外評価者への謝礼,研究打合せや学会発表のための国内旅費などに経費を使用する.
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