2013 Fiscal Year Research-status Report
香り癒し効果の定量評価に関する研究(バーチャルセラピストの実現に向けて)
Project/Area Number |
24603036
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
大西 厳 広島国際大学, 心理科学部, 准教授 (40290803)
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Keywords | 感性生活工学 / 香り / 生体情報計測 / モデル化 / 癒し |
Research Abstract |
本研究課題「香り癒し効果の定量評価に関する研究(バーチャルセラピストの実現に向けて)」を遂行するにあたり、H25年度において、脳波以外に顕著にその特徴が現れる生体情報の獲得をおこなった。以前著者らは、アイトラッキングシステムを用いて、似顔絵の上手な人とそうでない人との特徴およびその差異の抽出に成功しており、上手な人ほどモデルとキャンバス間の1分当たりの視線の移動回数が多くなることを確認した。本プロジェクトではその知見より、絵を描くスキルを持つ被験者5名(20~24歳の大学生:男子2名、女子3名)に対して、レモンの香りを提示して似顔絵を描く時と、無臭の状態で似顔絵を描く時の視線のトラッキングをおこない、そのときの1分当たりの視線の移動回数の違いについて分析した。その結果、レモンの香りを提示したときのほうが僅かではあるが、1分当たりの視線の移動回数が増加することを確かめた。また、このときの脳波の状態(α波、β波、およびその構成比と各部位の相関)は両者ともあまり差がない(両者の条件において、適度にリラックスしながらかつ集中して作業している)ことも確認した。よって、視線の動きを計測し新しい指標を抽出することにより、香りの集中力を高める効果が計測可能であることを示すことに成功した。今後は、レモン以外の香りについてもアイトラッキングを用いることによって、それぞれの香りの効果を数値化できる指標を獲得する予定である。この成果は、「注視点計測による香り効果の定量的評価手法についての検討」,大西厳,第15回日本感性工学会大会,東京女子大学,(2013.9)において公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在30名程度の被験者からデータを獲得し解析を行っているが、やはり初年度に購入予定だった生体情報計測システムTalk Eye III system 竹井機器工業(株)を本研究用にカスタマイズした特注品において、構成部品の一部が生産中止となり入手できず、代替できる装置がH24年12月28日になってしまった影響が非常に大きい。H25年度はかなり急ピッチで実験を実施したが、当初予定していた被験者50人分にはまだ届いていない。さらに対象の香りもレモンだけであり、その他に用意している、ペパーミント、ラベンダー、サンダルウッドに対しても随時実施していかなければならない。H26年度は、香りの芳香実験ができる部屋を3部屋確保し、部屋間の機器の移動は伴うが同時並行で実験データを取得する環境を整えている。また、現在のデータからレモンの香り効果については評価可能なので、それらをもとに残り3つの香りについても評価できるモデルを随時構成し、H26年度中にバーチャルセラピストを完成させる計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
脳波および脈波伝搬速度(PWV)、さらには注視点計測を要素に追加することによって、香りの効果を評価できる可能性があることが確認できている。被験者数を当初予定の50人まで獲得することによって、より汎用性のある評価指標を構成する。さらに、それらの指標を用いて、クライアントがどの香りを必要としているのか、あるいはそのクライアントが望む心身状態に導く、アロマオイルを提案するシステム(バーチャルセラピスト)を構築する。現在、注視点計測がその指標で、非常に重要なパラメーターになることから、H26年度は近距離の視線を測定するアイトラッキング装置(現有備品)と遠距離の視線を測定するアイトラッキング装置(H26年購入予定)を用いることにより、それらと脳波の状態(α波、β波、およびその構成比と各部位の相関)および脈波伝搬速度(PWV)を使って、被験者の心身の状態をより正確に評価する計画である。
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Research Products
(1 results)