2014 Fiscal Year Annual Research Report
医学研究に関する新たな法的倫理的規範の構築のための比較法的研究
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24610004
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸山 英二 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10030636)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | インフォームド・コンセント / 個人情報保護 / 倫理審査委員会 / 偶発的所見 / 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は引き続き,医学研究におけるインフォームド・コンセント(IC)などの問題を研究するとともに,医学研究倫理指針の見直しに係る合同会議に参加し,疫学指針・臨床指針を統合した「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の策定に関与した。同指針は,平成26年12月に告示された。指針策定に関しては,法学及び倫理学関係の有志で検討する機会を得たが,新規性を出そうとする事務局との遣り取りでは,最後まで苦労した。研究計画書記載事項やIC説明事項など,かなりのところは,座長の福井先生の好采配で何とか穏当なところにたどり着いたが,「介入」の定義など,折角,委員会で委員からの良い意見を引き出したにもかかわらず,最終的には,削除されるべきであった臨床指針の「通常の診療を超える医療行為であって、研究目的で実施するものを含む」の文言が事務局の判断で挿入されるなど,残念な部分も残った。 偶発的所見(incidental findings=IF)に対する対応に関して研究を継続したが,とりまとめまでには至らなかった。上記指針においても,具体的な対応のあり方は示されなかった。参考となったのは2013年12月の生命倫理問題検討大統領委員会の報告書で,これまでの意見の集約と位置づけることができる。医学研究に関しては,概要,下記のような勧告を提示している。 ①研究者は,ICのプロセスにおいて,生じる可能性があるIFの範囲,その開示の方針,開示の手続,開示を受けないことの可否・方法について参加者に説明すべきである。②研究者は,[臨床的・生殖的に]重要で臨床的に対応可能な[かつ,分析的・臨床的妥当性がある]ものなど予測可能なIFについて,それに対する対応方針を定め,IRBの承認を得ておくべきである。③研究者は,予測不可能なIFについて,それを評価し,それに対応する手続を定め,IRBの承認を得ておくべきである。
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