2012 Fiscal Year Research-status Report
現場ニーズに即した実効性のある「臨床倫理サポート」体制の確立
Project/Area Number |
24610005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
板井 孝一郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (70347053)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 臨床倫理コンサルテーション / 臨床倫理コンサルタント / 臨床倫理サポート / 臨床倫理部 / 臨床倫理委員会 |
Research Abstract |
平成24年度は、日本の医療現場における臨床倫理サポートに対するニーズの実態を把握するために、臨床倫理コンサルタントに対し、現場スタッフが具体的にどのような資質や能力を期待しているのかに関する連結不可能匿名化自記式アンケート調査を、申請者が把握している倫理コンサルテーションに取り組んでいる宮崎県外5箇所の大学病院・市中病院を対象として実施する予定であった。 しかし、いまだ「臨床倫理コンサルテーション」そのものが十分に浸透していない現状であることを鑑み、再度、宮崎県下の病院に対する臨床倫理サポートを実施している医療機関へ調査対象を絞ることに計画を変更することとした。 そこで本年度はアンケート項目を絞るために宮崎大学医学部付属病院に平成24年度に新設された中央診療部門「臨床倫理部」において、平成24年4月~平成25年3月までに寄せられた臨床倫理コンサルテーションの相談内容(全20例)を分析した結果は、以下の通りであった。18件が医師、1件が看護師、残りの1件がPCT(緩和ケアチーム)からの相談オーダーであったこと、また診療科別としては、外科系:6件、内科系:4件、その他:10件、相談内容別内訳としては、「延命治療の差し控え・中止」に関わるもの:4件、「医学的適応のある治療方針と患者・家族の意向の不一致」に関わるもの:7件、「病名告知」に関わるもの:2件、「適応外医療」に関わるもの:4件、「遺伝子診断」に関わるもの:1件、その他:2件であった。上記20件のうち、緊急コンサルト対応となたケース:13件 、倫理コンサルタントが直接、患者・家族とも接触したケース:2件、臨床倫理委員会にて審議を行ったケース:3件であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先述のように、当初計画では県外5箇所の医療機関に対しアンケート調査を実施する予定であった。しかし、いまだ「臨床倫理コンサルタント」や「臨床倫理コンサルテーション」ということ自体が十分に浸透していない現状であるため、倫理コンサルタントの資質や役割について質問肢を作成しても、ほとんど回答不可の状態で返答されてくる可能性が高いということがプレ調査の結果から判明した。そこで当初計画を見直し、宮崎大学医学部付属病院に平成24年度新設された中央診療部門「臨床倫理部」の倫理コンサルテーション活動実績・活動実態を分析し、倫理コンサルテーションを担うコンサルタントに期待されている役割や、コンサルテーション活動の浸透・普及にとって、何が阻害因子となっており、あるいはまた何が促進因子となっているかを浮き彫りにする上で有効性のある質問肢を再考する必要性が生じた。そのため、アンケート調査の実施に遅れが生じており、来年度の早い段階でアンケート設計を完成させ、実施を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケートの質問項目を見直し、25年度に実施する連結不可能匿名化自記式アンケート調査の概要は次の通りである。平成21年度科研費「基盤C」にて実施した申請者が勤務する大学病院及び関連病院を対象としたアンケート調査を踏まえつつ、平成24年度に宮崎大学医学部附属病院中央診療部門「臨床倫理部」に倫理コンサルテーションを依頼してきた医療従事者(看護師、医師、作業療法士、理学療法士、ソーシャル・ワーカー等、職種は問わない)を主な対象とし、アンケートのパイロット調査を実施する。回答されたアンケートの定量解析および、自由記述欄については質的分析を行い、本調査のための質問肢選定の検討を実施する。予定している主な質問項目は以下の通り。「倫理相談を受けてみようと思った動機は何か。」「受けてみて良かったことは何か。」「患者さんへの接し方やあなた自身の考え方で変化したことはあったか。」「物足りなかったことはなかったか。」「倫理相談を行う人材には、どのようなスキルや素養が必要だと思うか。」「倫理相談をはじめとする臨床倫理サポートが、医療現場に普及するために重要なことは何だと思うか。」
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に引き続き、文献・資料の補強的収集のために、図書費50千円〔設備備品費合計:50千円〕、消耗品費は30千円〔消耗品費合計:30千円〕、国内の調査・研究旅費100千円、および、研究成果の中間報告のために、成果発表国内旅費100千円〔旅費合計:200千円〕、アンケート調査結果・資料整理のための研究補助費100千円〔人件費・謝金合計:100千円〕、研究成果投稿料30千円〔その他合計:30千円〕、以上25年度は総計410千円を研究費として使用したい。
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Research Products
(6 results)