2013 Fiscal Year Research-status Report
イラン・イスラーム共和国の報酬を伴う生体腎移植プログラムと分配的正義に関する研究
Project/Area Number |
24610007
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
細谷 幸子 東邦大学, 看護学部, 非常勤研究生 (60516152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 佳子 東邦大学, 看護学部, 准教授 (70341245)
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Keywords | 国際研究者交流 / 医療倫理 / 臓器移植 / イラン / イスラーム |
Research Abstract |
本研究では、非親族のドナーから報奨金と引き換えに腎提供を受ける生体腎移植プログラムが施行されているイランをフィールドとし 、臓器移植をめぐる「分配的正義」の問題を、現地の価値観から理解することを目的とする。25年度は8月にイラン現地調査(28日間)をおこなう予定であったが、6月のイラン大統領選挙直後でビザ取得が非常に難しく、現地渡航が大幅に遅延する結果となった。しかし、十分な準備期間が取れたため、逆に長期で充実した内容の現地調査が可能となった。25年度に実施した内容は以下の通りである。 細谷:4~8月には前年度に引き続き、インターネット/英語・ペルシャ語論文を通し、イラン国内外で議論になっている他の生命倫理に関する情報収集(生殖補助医療、出生前診断と人工妊娠中絶、性別適合手術、障害者・慢性疾患患者の人権に関する法律等)の調査をおこなった。9月にイランに渡航し(2週間)、調査の拠点となるエマーム・ホメイニー病院とテヘラン医科大学にて長期的現地調査のための最終調整をおこなった。ビザ発行が遅延し、イランへの渡航が可能となるまでの期間(9~12月)には、日本国内で欧米の議論とは異なる中開発国における医療資源の分配的正義に関する文献調査をおこなった。26年1月にはイランに渡航し、3月までに以下の現地調査を実施した。(1)臓器移植/透析治療/臓器バンクの拠点であるエマーム・ホメイニー病院で詳しい状況の調査、(2)移植情報センター、特殊疾患協会、各種慢性疾患患者団体等、生体腎移植プログラムに関わる団体での聞き取り調査、(3)ペルシャ語の関連文献の収集。 松永:25年4月~26年3月まで、日本国内で各国の生殖補助医療に関する文献と資料を収集・読解した。4月と8月、11月に細谷と検討会議をもち、議論を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究は、現地渡航期間をずらして対応する必要があった以外は、ほぼ予定通りに達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である26年度は、現地調査を実施しない計画であった。しかし、25年度にイラン渡航のビザ取得が困難で現地渡航が遅延したため、26年度も引き続きイラン国内で調査を実施し、報酬を伴う生体腎移植プログラムと分配的正義に関する議論について、多角的に分析するための情報を収集する。上半期は現地調査を集中的に実施し、下半期は日本国内において資料読解・整理、文献調査、論文執筆をおこなう。26年度の具体的な研究計画は以下の通りである。 細谷:昨年度から引き続き、6月までイラン・テヘランの医療機関を拠点として現地調査をおこなう。患者団体や病院を訪問し、関係者インタビューと聞き取り調査を実施する。現地滞在期間中には、臓器移植だけでなく、生殖補助医療をはじめとする関連分野のトピックスについて情報を収集する。また、イスラーム法学者の指導を受けながら、諸概念の検討をおこなう。5月にはイスファハン医科大学で開催される国際学会で発表し、中東諸国からの参加者と交流をもつことで、他のイスラーム諸国における臓器移植・分配的正義に関する議論について情報収集をおこなう。8月にはカナダの国際学会で、これまでの成果の一部を発表し、考察を深める。9~3月には、収集した資料・文献を整理、読解すると同時に、これまでの調査で得た知見を論文としてまとめる。 松永:昨年度に引き続き、日本国内でとくに以下の二点に関して整理し、イランの事例の理解に努める。(1)各国の臓器移植と生殖補助医療のサービス経済評価、(2)生殖補助医療(卵子・精子・胚の提供)。7月、9月、12月に松永と細谷で会議をもち、論点の整理、関連する諸概念の検討とともに、論文投稿の準備をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
イラン国内の状況により、本年度に予定していた現地調査が延期となったため、旅費・人件費・謝金の支出が次年度に繰り越された。 現地調査継続のための旅費・人件費・謝金とともに、文献購入費と英語論文の校正費用に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)