2013 Fiscal Year Research-status Report
EUにおけるソーシャル・ツーリズムの現代的展開と政策的支援に関する研究
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24611007
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Research Institution | Shumei University |
Principal Investigator |
岡 達哉 秀明大学, 観光ビジネス学部, 准教授 (40572110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 基浩 和歌山大学, 経済学部, 教授 (30283948)
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Keywords | ソーシャル・ツーリズム / 観光政策 / 国際連携 |
Research Abstract |
本年度に実施した研究実績の概要は以下のとおりである。第一に、初年度に実施した、欧州連合(European Union;EU)において国際連携により進められているソーシャル・ツーリズムの現状及びそれを担保する制度的枠組みの概要等に関する情報収集をさらに進め、学術著書、各種論文等参考文献についての入手及び分析を引き続き着実に行うとともに、とりわけ先行研究を対象とする広範なサーベイを深化させ、主にフランス・スペイン・ベルギー・イギリス等におけるソーシャル・ツーリズムの現代的意義、政策的な広域連携の意義についての解明を深め、政策的支援等を受けて進められている個々の具体的取組みにおける特徴と課題について抽出した。第二に、ソーシャル・ツーリズム推進のための政府プログラムに関する費用便益分析(B/C)の実施事例として、スペインにおける高齢者を主たるターゲットとして観光・旅行を推進することにより観光がもたらす社会的、経済的効果の向上を目指すプログラムにおける費用便益分析の試算を把握し、研究分担者とともにその検証を進めた。第三に、初年度において実施した情報収集、文献調査及びに英国グリニッジ大学教員からの聞き取り調査により得られた知見と本年度に特定のプログラムを対象として深化させた研究成果について、国内共同研究者との研究会議を設け、中間年次までの段階における中間成果としてとりまとめた上で、研究者を対象とした会議において報告するとともに査読付論文を執筆し、日本とヨーロッパ諸国における包括的な意味合いでのソーシャル・ツーリズムの変遷を明らかにしつつ、日本におけるソーシャル・ツーリズムの今後の展開に向けた課題についてヨーロッパ諸国との対比的視点から考察を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の「年次計画」において本年度の作業予定として定めたとおり、研究者間の適切な役割分担のもと、研究課題に関連した海外文献を中心とする各種の史料分析調査を初年度に引き続きさらに進め、EUにおけるソーシャル・ツーリズムの現代的意義、政策的な広域連携の意義及びそこにみられるB/C算定手法についての検討、考察を深めた。さらには中間成果物としての発表及び論文執筆を行っており、最終年度に予定していた成果発表の一部を前倒しする形で進捗している。したがって、文献調査及び情報収集については所期の目的が達成されるとともに、成果発表については予定を上回る成果を挙げている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、初年度・本年度に調査・研究を進めた成果を統合して考察を深めるとともに、観光政策の広域連携に関するインプリケーションを得る観点から進める本研究の成果として、日本の観光において深い関わりを有するアジア太平洋地域をターゲットとした成果発表を目指しており、米国ハワイ大学所属の海外協力者と日程等について調整を進めている。また、国内での成果発表については、企業・行政・市民等にも開かれた公開の場における講演を9月に予定しているほか、研究計画に沿い、ホームページにおける公表を目指すこととしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外現地調査について、海外の研究協力者との調整の結果、当該研究協力者のタイトなスケジュールを踏まえ、本研究の共同研究者間で海外調査のタイミングをずらし、初年度に実施するとともに第二回を本年度に行うことを予定していたところである。その後、年度途中で当該研究協力者がイギリスの大学からアメリカの大学に転籍したため、適正かつ合目的的な執行を確保する観点から、これまでの海外現地調査により得られた知見と今後解明が求められる課題とを突合し共同研究者間で慎重に検討を重ねた結果、本年度はイギリスでの現地調査について調査方法、調査対象、調査時期等について再整理し、その上で次年度に実施することとした。 研究最終年度である次年度は、上述のとおりイギリスでの調査について再整理の上で実施(8月中を予定)するとともに、研究計画に従い、初年度・本年度に調査・研究を進めた成果を統合して考察を深めつつ、観光政策の広域連携に関するインプリケーションを得る観点から進める本研究の成果として、日本の観光において深い関わりを有するアジア・太平洋地域をターゲットとした成果発表を行う。そのため、米国ハワイ大学所属の海外協力者と日程等について調整を進めている。また、国内での成果発表については、企業・行政・市民等にも開かれた公開の場における基調講演を9月に予定しているほか、研究計画に沿い、ホームページにおける公表を目指すこととしている。
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