2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24611014
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Research Institution | Nara Prefectual University |
Principal Investigator |
麻生 憲一 奈良県立大学, 地域創造学部, 教授 (90248633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角本 伸晃 椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 教授 (20214421)
丸岡 泰 石巻専修大学, 経営学部, 教授 (30306071)
庄子 真岐 石巻専修大学, 人間学部, 准教授 (40587903)
井出 明 追手門学院大学, 経営学部, 准教授 (80341585)
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Keywords | 東日本大震災からの復興 / 観光振興 / 観光まちづくり / ダークツーリズム / インバウンド |
Research Abstract |
平成25年度の研究目的は、前年度と同様に①事前研究,②現地調査,③事後研究の3つの柱から構成されている。まず①事前研究として、「震災復興に関する文献収集」「統計資料並びに書籍の整備」を行った。すでに前年度、震災復興に関する文献収集を行ってきたが、本年度も岩手県、宮城県、福島県などの被災地関連の資料収集が主なものである。前年度から進めてきた「現地調査地域との連絡体制の組織化」については、新たに奥尻町地域政策課、奥尻島観光協会、喜多方市観光協会、喜多方市民泊農家との連携体制を構築することができた。②現地調査では、その対象を北海道、岩手、福島に広げた。主な聞き取り調査先としては、北海道奥尻町、岩手県平泉町、福島県喜多方市、南三陸町、釜石市での観光関連の部署である。奥尻島は北海道南西沖地震が起きて本年で丁度20年目に当たり、復興の現状を視察することができた。また本年度も、気仙沼市、陸前高田市、石巻市の観光施設などの復興の現状を視察した。石巻市については、分担者の丸岡氏、庄子氏を中心に現状把握がなされている。最後に③事後研究としては、これまで行ってきた聞き取り調査の内容を整理し、データ等の収集を行った。また、調査結果を研究会で発表した。それらは叢書1本、論文2本に纏められた。次年度では、聞き取り調査や視察で得られた情報、アンケート調査の結果などを学会で報告し、著書・論文に執筆していく予定である。 今回、北海道奥尻島の津波による被災の状況と20年後の復興の現状を把握することができた。また観光担当部署から当時の貴重な情報も聞き取ることができた。これらの研究成果は最終年度に繋がるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、震災復興の現地調査地域を岩手、福島、北海道、兵庫に広げた。岩手県平泉、福島県喜多方市、北海道奥尻島、神戸を現地調査した。平泉は世界遺産に登録された観光地であり、外国人旅行者の動向を把握した。喜多方市は福島県の代表的な観光地で、グリーンツーリズムで有名である。震災の影響の少なかったこの地域の風評被害の実態について観光協会の方から聞き取りを行った。北海道奥尻島の津波被害については、当時の状況について被災者の方々から聞き取りを行った。阪神淡路大震災後の復興の過程を考察するために、研究代表者の麻生が神戸、明石を中心に聞き取りを行った。以上、視察先としては、当初の計画通り進めることができた。昨年度から本年度にかけて東北地方の震災被害の大きかった地域の多くを視察することができた。また、岩手、宮城、福島の観光担当部署の方々から対面調査により聞き取りを行うことができた。その意味では、これまでのところ一定の研究目的は達成できたと考えている。しかし、一方で本年度予定していた被災地域の住民の方々に対して、アンケート調査を実施することができなかった。そのため、当初計画した住民アンケートの結果を統計的に分析できていない。これらの調査は次年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、現地調査、事後研究を中心に実施する。次年度が最終年度となるため、これまで各地域で収集してきた資料や聞き取りの結果を整理し、復興の現状について地域間で比較できるものにしておく。特に次年度は、当初の計画通りできていなかった被災地域での住民アンケート調査を中心に現地調査を実施する。対象地域としては、分担者の地元である石巻市を中心に実施する予定である。また、次年度は阪神淡路大震災の復興の現状について、復興支援グループ、行政関連部署、観光協会等への聞き取り調査などを行う予定である。2015年は阪神淡路大震災から20年目の節目を迎えるため、震災復興の課題を東北の震災地域との対比で明示していく。最後に事後研究では、これまで得られたデータを定量・定性データの仕分け、そして地域特性など統計的手法により明示していく。研究メンバーでデータを共有し、データの整備、加工を行い、多変量解析、時系列分析、テキストマイニング分析により、震災被災地の地域特性を導出し、類型化を行う。また、現地調査で得られたデータに基づき、震災復興を効果的に推し進めていくための観光復興のための理論モデルを構築し,総合的・包括的な観光復興システムを提案する。研究グループ間で議論を重ね,研究成果を精緻化した上で学会発表はもとより,現地調査を行った被災地域,今後震災復興を目指す地域において研究成果を開示し,社会に還元していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度からの繰越金が411,435円であり、平成25年度に実施する予定であったアンケート調査経費並びにアルバイト学生への謝金費が未使用であった。また、旅費の支出が当初計画していたものを下回った。 平成26年度の研究総額は当初の計画では90万円年を予定している。その内訳は、物品費が30万円、旅費が45万円、謝金費が10万年、その他が5万円となっている。今年度はアンケート調査を実施するため、前年度からの繰越金の一部はそれに適用される。また、研究メンバーとの打合せ、学会、研究会等に旅費が充当される。
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Research Products
(10 results)