2012 Fiscal Year Research-status Report
消費税の高税率化にともなう外国人旅行者の消費行動と免税制度活用モデルに係る研究
Project/Area Number |
24611015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
河本 光弘 札幌国際大学, 観光学部, 准教授 (50458147)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 免税店 / 観光消費 / 消費税 / ショッピング / 空港 |
Research Abstract |
■調査の目的と調査計画 近年、我が国では観光庁の設立など「観光」を成長産業として位置づけ、2020年に訪日外国人観光客2,000万人等の目標を立てている。このように外国人観光客とその観光消費の増加が国内経済に与える波及効果は大きいと想定されているが、その消費の増減に大きな影響を与えることが想定される外国人旅行者の免税利用や免税店に関する我が国の研究は少ない。そこで本研究の目的は、国内外の免税店やその運営企業の実態、そこを利用する外国人観光客の観光消費行動等を明らかにし、外国人観光客への免税制度や免税店の存在が、外国人観光客などの消費行動にどのような影響を与え、将来、想定される消費税の高税率化(その度合い)により、どのような変化や課題等が生じるのか等をモデル化し分析することにある。 ■1年目の調査研究実績の概要 <内外の免税制度や免税店、免税店経営企業に関する現状基礎調査の実施> 現状において、外国人旅行者の消費活動が、国内の経済にどのような効果を発生させているのか。具体的には、消費額規模、付加価値額規模、雇用規模は大きいのか。また、海外において免税(店)制度やその販売規模、日本人購入比率等はどのようになっているのか。などの視点でそれらについて、文献調査およびインタビュー調査等を実施した。特に、これまで明らかにされてこなかった消費税や関税、酒税・たばこ税等物品税が課税されないDUTY FREE SHOPと称される国際空港や港湾ターミナル施設内などの免税品店の数や所在地、経営者等の概要を整理するとともに、現状の利用状況等について整理するとともに消費税だけが課税されないTAX FREE SHOPと称される輸出物品販売所の全国における数や地域分布を国税庁消費税室と協議し情報開示により明らかにした。また、これらの成果は、昨年12月の日本観光研究学会の全国大会において、発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<我が国免税店の基礎的資料作成から出発し、免税に関する基本事項を整理分析し、学会で発表> 本研究の目的は、国内外の免税店やその運営企業の実態、そこを利用する外国人観光客の観光消費行動等を明らかにし、外国人観光客への免税制度や免税店の存在が、外国人観光客などの消費行動にどのような影響を与え、将来、想定される消費税の高税率化(その度合い)により、どのような変化や課題等が生じるのか等をモデル化し分析することにあった。だが、事前研究での想定通り、これまでの研究が極少なかったことに加え、関税法上の免税店や消費税法上の輸出物品販売所についての既存の国の公的統計や.情報公開がいっさいなされていなかったこともあり、ヒアリングや資料収集等による現状把握を中心とした課題研究となった。しかし、これらについて調査研究結果を論文としてとりまとめ、日本観光研究学会の全国大会で論文発表を実施した。 <アジア地域の免税制度や利用状況の調査> 一方、アジアの韓国や台湾、マレーシア、シンガポールにおいて免税(店)制度やその販売規模、日本人購入比率等はどのようになっているのか?などの視点でそれらについて、文献調査およびインタビュー調査等を実施した。特に、消費税や関税、酒税・たばこ税等物品税などの免税制度等の概要を整理するとともに、現状の免税方法等についてまとめるとともに、タイや台湾等で行われている入国時の免税制度などについても整理を行った。これらについては2年次以降で整理し、発表を行う予定である。 <本調査研究にかかる人的ネットワークの形成> 本調査研究を進めていく上で重要な国税庁や関税部署、日本デュテーフリー協会、DFS、主要な空港免税店などの免税制度や免税システム、外国人消費動向等に関係する多くの人々と情報交換や人間関係を形成することができ今後の調査に向け支援が得られる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、国内外の免税店やその運営企業の実態、そこを利用する外国人観光客の観光消費行動等を明らかにし、外国人観光客への免税制度や免税店の存在が、外国人観光客などの消費行動にどのような影響を与え、将来、想定される消費税の高税率化(その度合い)により、どのような変化や課題等が生じるのか等をモデル化し分析することにある。 そこで2年次の調査では、1年次目の成果を受けて外国人等の購買(物品購入)活動や免税(店)利用実態等に関する調査を中心に実施する計画である。①外国人観光客の購買活動や免税(店)利用に関する調査を実施する②外国人観光客の購買活動や免税(店)利用に関する調査、物品購入を中心とした米国・英国・豪州人等旅行客の購買活動に関する調査、具体的な想定調査内容としては、回答者概要(国籍、年齢、性別、職業等)、旅行目的、日数、旅行形態、旅行先、全旅行費用、支出割合(宿泊・交通・飲食・ショッピング・その他)、免税店利用の有無と満足度(その理由)、ショッピング内容、日本でのショッピングの課題や不満点などについて調査する。③インタビュー調査中心とした海外の免税店に関する事例研究も実施する計画である。海外免税店における観光客の消費活動に関する調査において、例えば免税制度(店)と観光振興、経済発展との関係(欧州各国、米国、カナダ等)との関係を中心に、フランス、ハワイ、カナダなどで調査を行う計画である。 これらの調査研究によって、我が国における外国人等の購買(物品購入)活動や免税(店)利用実態等を明らかにするとともに、海外における免税制度(店)の観光振興等との関係を明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の目的は、国内外の免税店やその運営企業の実態、そこを利用する外国人観光客の観光消費行動等を明らかにし、外国人観光客への免税制度や免税店の存在が、外国人観光客などの消費行動にどのような影響を与え、将来、想定される消費税の高税率化(その度合い)により、どのような変化や課題等が生じるのか等をモデル化し分析することにある。 そこで、最終年次の3年次の調査においては、消費税率の変動と免税販売額に係る各種モデル分析作成を念頭に、消費税率の税率上昇が、外国人旅行客の消費行動にどのような影響を与えるのか。加えて、消費税率の変化が日本人の消費構造にどのような変化を発生させるのか(高級ブランド品や嗜好品等における、現状以上の海外での購入比率の上昇想定)。 これらについて、これまでの調査結果等から各種分析モデルを作成分析・検証確認し、政策提言等を行う計画である。
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