2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24611025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka Eiwa Gakuin University |
Principal Investigator |
野瀬 元子 静岡英和学院大学, 人間社会学部, 講師 (60611845)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 観光地 / 高齢者 / ユニバーサルデザイン / ユーザビリティー |
Research Abstract |
当該年度は、予備調査として、箱根を対象とした個人旅行の日本人旅行者,中国人旅行者の行動・評価実態を事例に、旅行時のバリアを同定しながら、旅行者の旅行環境に対する満足の醸成、様々なニーズへの対応について検討した。 本予備調査への協力に同意した箱根旅行者を対象として、旅行時に遭遇したその時々の事案の画像、音声による記録やGPSロガーによる周遊経路の把握により、旅行者の行動特性の把握ならびに旅行環境におけるバリアの同定を行い、旅行経験の向上に関わる施策の検討を行った。この利便性向上施策検討では、「出来るだけ多くの人が利用可能な」ものを指向するユニバーサルデザインの7原則に基づいて行った。7原則には,1)公平性,2)柔軟性,3)明解性,4)視認性,5)受容性,6)快適性,7)空間性があり,これらを用いる理由として、居住地、年齢階層が多様な箱根来訪者属性を考慮した施策検討が重要と考えたことによる。 箱根旅行者を対象として、デジタルカメラによる視覚情報の取得、ボイスレコーダを用いた感想・評価の録音、周遊地点把握補完のためのGPS端末を用いたデータハンドリング、ならびに事前・事後のアンケート票による補完によって、精度の高い周遊実態,周遊時の問題点の把握を行なった。その結果、思考発話法を用いて、旅行中の思考・評価を収集し、1被験者当たり約28コメントを取得し、満足・不満足の評価を集計するとともに、評価原因をユニバーサルデザインの7原則を用いて類型化した。その結果、旅行環境の満足・不満足に関わる要素として、視認性,明解性が不足となる状況下で不満足が生じている一方、人的対応という柔軟性を持っている場合、旅行者の経験として満足が形成されていた。また、バリア認知の要因を異なる居住地属性間の比較によって課題抽出することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備調査の実施は達成できたが、65歳以上の高齢者モニターによる現地調査を通じたユーザビリティ調査の検討は次年度に実施予定となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
静岡シルバー人材センターを通じて事前に調査協力に同意した65歳以上の高齢者モニターによる調査を実施する。事前に調査協力に同意した高齢者モニターに次の4種類の調査方法を用いる.なお,予めモデル旅程及び下記の調査における記録課題を依頼し実施する. ①デジタルカメラの記録調査:調査協力に同意した旅行者が実際の周遊時に携帯し,周遊過程で遭遇した情報不足により困った点,不便だった点などの問題点や特に便利に感じた点などについて,視覚情報及びコメントを事案発生時に動画で記録する. ②GPS調査: 上記①同様に旅行者が周遊時に携帯する方法で周遊パターンや立寄り地点の実態を把握する. ③アンケート調査: 上記の2つの調査は周遊時に機器を使用して精度の高い実態把握を行うのに対し,3つ目の調査方法では,観光旅行後に自己記入式で回答をするアンケート調査により,総合満足度と個別要因の定量的な把握および個人属性,旅行形態,目的地選択理由,旅行に関する利用情報媒体の把握を行う.④インタビュー:観光旅行終了後に直接,アンケート調査の記入事項を確認しながら,旅行時に遭遇したバリア等に関する聞き取りを行う. 上記を通じて,箱根地域のユーザビリティの問題地点とその内容について整理を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高齢者モニターによる現地調査実施のため調査協力者への謝金支払いを予定している。年度別計画費目別内訳では、人件費・謝金として平成24、25年度にそれぞれ7万円割り振られているが、次年度に合計額の14万円、またはそれを上回る金額を謝金として使用する予定である。 また、行動観察という調査手法の適用も検討するため、情報収集のため東京、大阪、箱根への出張を予定している。そのため、出張回数により旅費の合計が20万円、またはそれを上回る金額となる予定である。 調査準備、調査とりまとめに要する物品として、プリンタートナー、電池、記録媒体(USB, SDカード他)、書籍の購入を予定している。そのため、物品費として約10万円の使用を予定している。
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Research Products
(2 results)