2013 Fiscal Year Research-status Report
新規高性能試料濃縮針を応用した次世代精密室内空気環境計測技術の開発
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24612002
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
植田 郁生 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50598688)
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Keywords | 針型抽出デバイス / 試料濃縮 / ガスクロマトグラフィー / 揮発性有機化合物 / 室内空気環境測定 / シックスクール |
Research Abstract |
研究2年目に当たる平成25年度は、前年度に開発した2層型の抽出針を用いて、新築および改装後の学校施設の室内空気測定を行い、学校施設中の揮発性有機化合物(VOCs)を簡便かつ高感度に分析し、いわゆるシックスクールの評価を行った。学校施設は用途が異なる様々な部屋が存在し、また、子供が長時間に渡って暴露される空気であるため、規制対象外のVOCsについても調査を行った。開発した抽出針は、幅広いVOCsに対して高効率に抽出することが可能であり、種々のVOCsを高感度かつ精密に測定することに成功した。また、時間経過に伴うVOCs濃度の変化や季節による変化についても検討を行い、シックスクールに関する有用な成果が得られた。 上述の空気中VOCsを分析する知見をさらに水中VOCsの分析に応用することに成功した。充填材を多層に充填した新規抽出針を開発し、水道水に含まれる微量VOCsを簡便な操作ながらも高感度に分析する新規パージ・トラップ分析法を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2年目以降の計画は、初年度に開発した抽出針を実試料に応用し、評価することである。すでに、初年度において前倒しで実試料を用いて従来法との比較実験を行ってきている。平成25年度は当初計画通り、開発した抽出針を用いて学校施設中のVOCsによる健康被害である、いわゆる「シックスクール」の評価を行った。新築小学校および改築後の小学校において、長期に渡り室内空気中VOCsを高感度かつ精密に測定し、教室によるVOCsの種類や濃度の変化、また、季節によるVOCs濃度の変化等の有用な知見を得ることができ、2年目から3年目にかけて行う予定であった当初の目標を前倒しで達成した。 また、開発した抽出針の知見を水試料中のVOCsの測定にも応用することに成功しており、従来の計画を大きく上回る成果が得られてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
室内空気中一般的なVOCsを高効率に捕集する新規抽出針の開発ならびにその実試料への応用にすでに成功しているため、今後はこの知見を応用した大気中のVOCsの捕集デバイスの開発を試みる方針である。注射針型では気体の最大吸引速度が非常に小さいため、大気中に存在する極微量VOCsの捕集には不向きであると考えられる。従って、これまでに得られた知見を応用した新たな捕集デバイスの開発を行う予定である。 また、針型抽出デバイスを用いる水試料中のVOCsの分析についても引き続き研究を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
室内空気環境を測定するための新規デバイスの開発が当初予定よりも順調に進み、試作するデバイスの数が当初計画よりも少なく済んだため。 また、実試料測定として新築オフィスや学校施設の空気環境測定を行う際に、近隣の施設を使用することができため。 大気中のVOCを捕集するための新規抽出デバイスの作製費として使用する計画である。
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