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2012 Fiscal Year Research-status Report

化学アフィニティーを利用した分子構造認識型固相抽出剤の開発と残留農薬分析への応用

Research Project

Project/Area Number 24612003
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionChubu University

Principal Investigator

山本 敦  中部大学, 応用生物学部, 教授 (60360806)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小玉 修嗣  富山県衛生研究所, 化学部, 主幹研究員 (70360807)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords化学的親和力 / 選択的吸着剤 / オンレジン蛍光分析法
Research Abstract

溶質の吸着に関与する分子間の相互作用として、弱い相互作用の評価を行った。今年度は双極子の作用について検討した。大きな永久双極子を持つp-ニトロフェノキシ基を導入した吸着剤と種々置換フェノールとの相互作用では、ハロゲン置換されたフェノールで強い吸着が認められ、その強さは溶質の電子分極率、すなわち屈折率と有意な相関が認められた。これは、双極子を持った官能基による溶質の誘起双極子が吸着に大きく係わっているためと考えられ、種々の双極子モーメントを持った官能基を導入して吸着特性を評価しているところである。
一方、この双極子-誘起双極子を発現する選択的吸着剤の応用研究も展開した。テトラサイクリン系抗菌剤、この化合物は両性イオン体であり、ベタイン型の吸着剤に非常に強い親和性を有し、容易に脱着できなくなる。この性質を利用して、固相蛍光による「オンレジン蛍光分析法」を開発した。オンレジン法とは、固相抽出剤による目的物の捕集・洗浄後、目的物を溶出させることなく固相表面上で検出する新規スクリーニング法である。テトラサイクリン類は、近紫外部に励起波長を持った発蛍光性化合物であるため、カートリッジ外よりLEDで照射、励起することで可視蛍光の測定が可能であった。オンレジン用の試作装置を自作し、蜂蜜試料へ適用したところ、我国の残留基準である0.3 ppmを確認することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本来、吸着剤上で作用する相互作用は、水素結合や疎水性相互作用のような比較的強い力が利用されてきた。二次あるいは三次といった副次相互作用を利用する、いわゆる多足型吸着剤においては、主保持機構とは別に、より強い相互作用を発揮する官能基を疎に導入することで選択性を高めてきた経緯がある。今回の研究は、主保持機能を持った官能基とほぼ当量の弱い相互作用を発現する官能基を導入した吸着剤が発現する新たな選択性追及を目的としたものである。遠くの溶質まで影響力を及ぼすlong-range官能基、例えばクーロン力は強い吸引力を示すが、電気二重層によって近接できないためポテンシャルエネルギーはさほど大きくなく、容易に他の電解質によって置換される。一方、van der Waals力のような弱い相互作用は、遠くの溶質に影響力を与えることはできないが、溶質間の距離が縮まること、また関与する原子数が増えることで相対的に強い吸着力になりうる。すなわち、強いlong-range相互作用官能基と弱いshort-range相互作用官能基を組み合わせることで新たな吸着選択性が発現することを始めて実証できた。
この相互作用を利用した選択的吸着剤から溶質が容易に脱着できないことを逆手に取った「オンレジン分析法」は、これまでになかった簡易スクリーニング法として、複雑なマトリクスを有する食品や臨床、環境といった分野での微量危害因子分析に大きく貢献できるものと考える。

Strategy for Future Research Activity

現在、この弱い相互作用の影響評価は、官能基の構造と溶質の種類を変えた組み合わせによる網羅的手法で行っている。これでは実験の量とそれに伴うデータ解析が非常に煩雑になるため、平成25年度ではこの相互作用の熱力学的解釈法として吸着等温線の解析に取り組むこととする。多足型吸着剤での吸着線はmulti-Langmuirモデルに従うと考えられ、それぞれの吸着平衡速度と最大吸着量を吸着剤、溶質及び吸着溶媒の種類を変えて算出することで、双極子相互作用型吸着剤の吸着選択性が数値パラメータとして評価できるものと考える。
これまでに合成・評価を行ってきた吸着剤は、双極子モーメントを持った官能基とπ-π相互作用、水素結合相互作用の官能基を組み合わせたもののみである。双極子モーメント官能基と他の強い相互作用の官能基との組み合わせは検討していない。また、双極子モーメント以外の弱い分子間相互作用を発現する官能基の評価も平成25年度では検討したい。
「オンレジン分析法」は、1カートリッジ1成分対応になるので、残留農薬のような対象品目の多い危害因子には適用性に限界がある。そこで平成25年度は、個別分析が重要視される食品中のカビ毒、中でも毒性の強いアフラトキシン、オクラトキシンといった発蛍光性カビ毒に特化して方法論を確立していく。これらを選択的に捕捉可能な吸着剤の設計・合成・評価と共に、抽出を含めた簡便な試料調製法も検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

該当なし

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] An optosensing device for detecting tetracycline antibiotics in honey2013

    • Author(s)
      Atsushi Yamamoto, Saori Yoshii, Chika Suematsu, Michiya Tatematsu, Hidenori Shoji, Yuji Kato, Mitsuru Saito, Yoshinori Inoue
    • Journal Title

      Analytical Methods

      Volume: 5 Pages: 773-777

    • DOI

      10.1039/c2ay25667c

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 双極子認識型固相抽出剤による簡易農薬分析(その1)―ニトリル系除草剤2012

    • Author(s)
      鈴木志保、三輪俊夫、山本 敦、斎藤 勲、上野英二、井上嘉則、齊藤 満
    • Organizer
      日本分析化学会第61年会
    • Place of Presentation
      金沢大学
    • Year and Date
      20120919-20120921
  • [Presentation] 双極子認識型固相抽出剤による簡易農薬分析(その2)―ネオニコチノイド系殺虫剤2012

    • Author(s)
      三輪俊夫、鈴木志穂、山本 敦、斎藤 勲、上野英二、井上嘉則、齊藤 満
    • Organizer
      日本分析化学会第61年会
    • Place of Presentation
      金沢大学
    • Year and Date
      20120919-20120921
  • [Presentation] 双極子認識型固相抽出剤による簡易農薬分析(その3)―ハロゲン化フェノキシ酢酸系除草剤2012

    • Author(s)
      鈴木志保、三輪俊夫、山本 敦、斎藤 勲、上野英二、井上嘉則、齊藤 満
    • Organizer
      日本分析化学会第61年会
    • Place of Presentation
      金沢大学
    • Year and Date
      20120919-20120921
  • [Presentation] 双極子を利用する固相抽出剤2012

    • Author(s)
      三輪俊夫、鈴木志穂、斎藤 勲、山本 敦、井上嘉則、齊藤 満
    • Organizer
      第72回分析化学討論会
    • Place of Presentation
      鹿児島大学
    • Year and Date
      20120519-20120520

URL: 

Published: 2014-07-24  

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