2012 Fiscal Year Research-status Report
ホスゲン・塩素ガス等の塩素系化学兵器曝露のバイオマーカー探索に関する研究
Project/Area Number |
24612004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
柘 浩一郎 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (90356204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 毅 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (70356195)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プロテオーム / 有毒ガス / 塩素 / ホスゲン / 曝露 |
Research Abstract |
本研究の初年度である本年は、基礎的検討および実際の検査を必要としている現場の状況の調査を中心に研究を実施した。 我々はこれまでに、当研究所所有のThermofisher社製LTQ-Orbitrapを用いたタンパク質消化物の分析を実施してきたが、本年はこれまでの分析法の問題点である、データ依存測定時におけるプレカーサイオンの掬い落とし(主にLCにおけるペプチドの分離不十分が主因と考えられる)の改善のため、カラムの再検討および溶離液の変更を実施し、カラム長の延長(150mm→250mm)や溶離条件(グラジエント)の改良によってより多くのペプチド断片の同定を可能にした。 さらに、これまでに各都道府県において発生した塩素ガスおよびホスゲンの漏出事故における現場対応と、その際の資料採取、被害者の治療の状況等を直接現地に赴いて調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、研究初年度であり基礎的な検討にとどまっているが、概ね研究は進捗しているものと考えている。 当初2年度目以降で予定していた皮膚タンパク質であるケラチンを用いた実験について、当初は試薬として市販されているものを使用して実験を行う予定であったが、事前調査の結果、輸入品である本試薬が廃番により入手が不可能となってしまい、ケラチンを用いた実験についてはその入手について再検討する必要が生じたため、次年度以降に入手法について検討することとする。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初計画に従い、質量分析法を用い、タンパク質のトリプシン消化物についてLC-MSで全断片同定した上で、ガス曝露量を変化させた試料を用いて定量分析をおこない、添加量に応じてピーク面積が減少する断片を結合部位の候補とし、さらにLC-MS/MSを用いて結合部位を同定するという手法を用いて結合部位の決定を実施する計画である。 ケラチンの入手については、今後、細胞培養等を実施している大学等の専門家の助言を得て入手するか、共同研究者体制を敷くことにより本研究を実施することも検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度購入予定であった備品(タンパク質質量分析データ解析システムソフトウェア)の同種品が当研究所の他の研究予算で取得が可能となったことから、本年は当研究費からの購入を取りやめた。次年度は先に述べたケラチンの調製に必要な試薬や培養装置等に当研究費を重点的に充てる計画である。 また、本年度出席を予定していた国際学会への出席について、重要な公務と重なったために不可能であったことから、研究申請書記載の予算の使途方針「積極的に海外・国内の学会等参加のために使用し、最新の研究動向、技術開発状況の調査を行ない、研究の方向性の決定に役立てる。」に基づき、国際学会への出席による情報収集にも努めることとしたい。
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