2014 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクス解析によるビオチンの摂食抑制機構の解明と糖尿病改善への応用
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24614009
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
曽根 英行 新潟県立大学, 人間生活学部, 准教授 (90398511)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ビオチン / ヒストンビオチニル化 / 視床下部 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度は、ビオチンが視床下部においてACC-βをコードするDNA領域のヒストンビオチニル化を増加させることを示唆する結果を得た。しかし、ビオチニル化ヒストン領域に在るDNAの回収量に不足を生じ、測定結果の信頼性に若干の疑義を残した。平成26年度は、ビオチニル化ヒストン回収条件を再構築し、マロニルCoA合成酵素(ACC-β)とコントロール遺伝子(GAPDH)、ネガティブコントロール遺伝子(SMVT)プロモーター領域でのヒストンのビオチニル化頻度を再検討した。さらに、ビオチンによるマロニルCoA代謝調節について、合成酵素ACC-βと分解酵素マロニルCoAデカルボキシラーゼ(MCD)の遺伝子発現量についても併せて検討した。クロマチンの抽出は、従来の核抽出に加え、新たにクロマチン抽出キットにより検討した。ヒストン3~4個のクロマチン断片化条件は、Micrococcal Nuclease(MCN)濃度(1.0×10-13U~1.0×10-1U)と消化時間15分(37℃)の組み合わせで検討し、断片化状態をアガロースゲル電気泳動で確認した。従来の核抽出では目的クロマチン断片の回収は認められなかったが、新たなクロマチン抽出方法ではヒストン3~4個のクロマチン断片を効率良く回収することができた。この条件で視床下部からクロマチン断片を回収し、ヒストンのビオチニル化修飾を受けたクロマチン断片のDNAを採取し、ACC-β、GAPDH、SMVT遺伝子のプロモーター領域におけるヒストンビオチニル化頻度を確認した。その結果、GAPDHとSMVTではビオチン添加の影響を受けないことが示されたが、ACC-βではプロモーター領域でのヒストンビオチニル化の有意な増加が再確認された。さらに、MCDの遺伝子発現量がビオチン添加で変化しなかったことから、ビオチンは視床下部においてヒストンビオチニル化によりACC-βの遺伝子発現を増加し、マロニルCoA合成の亢進と摂食抑制を誘導することが示唆された。
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