2012 Fiscal Year Research-status Report
食品含有成分による細胞死誘導リガンド耐性乳癌細胞の治療効果促進機構の解析
Project/Area Number |
24614019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
福井 雅之 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 研究員 (60392502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 光浩 産業医科大学, 医学部, 講師 (00321662)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 不飽和脂肪酸 / ビタミンC / アポトーシス / オートファジー |
Research Abstract |
本研究目的は、我々が日常で摂取する食品に含まれる成分を癌細胞特異的に細胞死を誘導するTNF-related apoptosis-inducing ligand (TRAIL)と組み合わせる事によりTRAILが誘導する癌細胞特異的な細胞死誘導効果を高め、副作用のない治療法となり得る事を示す事にある。 本年度の予備実験の結果からビタミンCやPUFAは細胞死誘導経路としてのアポトーシスのみならず、細胞内オルガネラの自食経路の一つであるオートファジーも誘導している事が判明した。そこで本年度は不飽和脂肪酸のみで癌細胞に与える影響を解析した。 PUFAはヒト膵臓癌細胞を移植したマウスxenograftモデルにおいて癌細胞の増殖を有意に抑制する事が示された。また、in vivo、in vitro両実験系においてPUFAは酸化ストレスを誘導し、癌細胞に細胞死を誘導する事が示された。さらに、電子顕微鏡による解析により、PUFA処理した癌細胞内には細胞内オルガネラを取り囲むオートファゴソーム像が得られた。そこでin vitro実験系において、オートファジーが誘導されている事を抗LC3B抗体を用いた蛍光免疫染色により確認した。オートファジー特異的阻害剤あるいはBeclin1 siRNAのトランスフェクションでオートファジーを阻害する事により、PUFAが示す抗腫瘍効果は増強される事が明らかとなり、PUFAが誘導するオートファジーはアポトーシスを阻害している事が示された。 このPUFAによる抗癌作用の解析結果は論文にまとめ、国際雑誌に投稿した。今後、TRAILとの併用投与による効果を解析していく予定であるが、PUFA単独で誘導する抗腫瘍効果の誘導メカニズムを明らかにした事は今後の解析を行なっていく上で非常に重要であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時には、平成24年度においてヒト乳癌細胞株を移植したマウスxenograft モデルにおいてビタミンC/TRAILあるいはPUFA/TRAILの併用処理により相乗的な抗腫瘍効果が得られる事を示す予定であった。しかし、ビタミンCあるいはPUFA単独の処理によってアポトーシスのみならず、想定外のオートファジー誘導効果が見られた為、まず始めにこれらの食品含有成分によて誘導されるアポトーシスとオートファジーがどの様な関係にあるかを明らかにする事から取り組んだ。その結果、PUFA処理によって誘導されるされるオートファジーはアポトーシスを阻害している事が明らかにできた。 ビタミンC/TRAILあるいはPUFA/TRAILを併用した場合の抗癌作用の解析という点においては当初の計画よりは遅れているが、単独で処理した場合においての効果をこれまでに明らかにできた事により今後の研究の進展は円滑に進むと予想される為、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
ヌードマウスにヒト乳癌細胞株MCF-7細胞をxenograftし,ビタミンC/TRAILあるいはPUFA/TRAIL併用投与を行う。DHAやEPAといったPUFAの純度の高い精製品を動物実験に用いるには非常に経費が高い。そこで変わりにこれらPUFAを豊富に含むFish oilを餌に含ませ動物に与える。Fish oilを5%含有する餌をマウスに与えたグループをPUFA投与群,コントロールとしてはFish oilの代わりにCorn oilを5%含有する餌を与える。Fish oilを与えたマウスCorn oilを与えたマウスと比べて抗乳癌増殖作用が強い事は報告されている。今回の研究では,TRAILとの併用によりさらに強い乳癌抑制作用が得られる事を期待する。 ビタミンC/TRAIL,PUFA/TRAIL併用投与それぞれについて抗腫瘍効果を評価する。ビタミンCを経口投与した場合 には生体内組織においてその濃度は0.2mM以上に上昇できない。一方,血管内投与した場合には0.2~10mMまで到 達可能である。そこで本課題においてはビタミンC 250 mg/kg BW,TRAIL 10 mg/kg BWの条件で血管内投与する。腫瘍サイズを経時的に測定する。最終的に腫瘍組織は摘出し,重量を計測する。また,組織免疫染色法を用いて,PCNA染色により細胞増殖,TUNEL染色により細胞死,さらにカスパーゼ8の活性化を活性化カスパーゼ8特異的抗体により検出し,コントロール群と各処置群との間で比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画遂行の上で,マウスとCorn oil或はFish oilを含有する特別調整した飼育餌の購入が必要であり,マウスと飼育餌を合わせて合計500千円の経費を予定している。また,組織学的、分子生物学的実験を行うのに必要な特異的抗体、遺伝子の発現解析に必要なポリメラーゼ等の試薬の購入と共に,癌細胞の培養・維持には血清・サイトカインを必要とし,またヒトリコンビナントTRAILを購入する為,期間内合計1600千円の経費を必要とする。さらに、研究結果の発表として国際学術雑誌への投稿費・掲載費、誌国内外の学会への参加費等に600千円の予算が必要と計画している。
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Research Products
(4 results)