2013 Fiscal Year Research-status Report
食品含有成分による細胞死誘導リガンド耐性乳癌細胞の治療効果促進機構の解析
Project/Area Number |
24614019
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
福井 雅之 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 研究員 (60392502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 光浩 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (00321662)
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Keywords | 不飽和脂肪酸 / ビタミンC / アポトーシス / オートファジー / 癌 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究目的は、我々が日常で摂取する食品に含まれる成分を癌細胞特異的に細胞死を誘導するTNF-related apoptosis-inducing ligand (TRAIL)と組み合わせる事によりTRAILが誘導する癌細胞特異的な細胞死誘導効果を高め、副作用のない治療法となり得る事を示す事にある。 これまでの結果からビタミンCやPUFAは細胞死誘導経路としてのアポトーシスのみならず、細胞内オルガネラの自食経路の一つであるオートファジーも誘導している事が判明した。PUFAはヒト膵臓癌細胞を移植したマウスxenograftモデルにおいて癌細胞の増殖を有意に抑制する事が示された。また、in vivo、invitro両実験系においてPUFAは酸化ストレスを誘導し、癌細胞に細胞死を誘導する事が示された。さらに、電子顕微鏡による解析により、PUFA処理した癌細胞内には細胞内オルガネラを取り囲むオートファゴソーム像が得られた。そこでin vitro実験系において、オートファジーが誘導されている事を抗LC3B抗体を用いた蛍光免疫染色により確認した。オートファジー特異的阻害剤あるいはBeclin1 siRNAのトランスフェクションでオートファジーを阻害する事により、PUFAが示す抗腫瘍効果は増強される事が明らかとなり、PUFAが誘導するオートファジーはアポトーシスを阻害している事が示された。 現在、PUFAとTRAILの併用により抗腫瘍効果が上昇するかどうかをヒト乳癌培養細胞を用いたin vitro実験系において解析中であり、効果が認められる場合にはマウスxenograftモデルを用いて今後解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請時には、平成25年度までにヒト乳癌細胞株を移植したマウスxenograft モデルにおいてビタミンC/TRAILあるいはPUFA/TRAILの併用処理により相乗的な抗腫瘍効果が得られる事を示す予定であった。しかし、ビタミンCあるいはPUFA単独の処理によってアポトーシスのみならず、想定外のオートファジー誘導効果が見られた為、まず始めにこれらの食品含有成分によて誘導されるアポトーシスとオートファジーがどの様な関係にあるかを明らかにする事から取り組んだ。その結果、PUFA処理によって誘導されるオートファジーはアポトーシスを阻害している事が明らかにできた。 ビタミンC/TRAILあるいはPUFA/TRAILを併用した場合の抗癌作用の解析という点においては当初の計画よりは遅れているが、単独で処理した場合においての効果をこれまでに明らかにできた事は大きな成果であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ヒト乳癌細胞株を用いたin vitro実験系において、ビタミンC/TRAIL併用処理による抗腫瘍作用を評価中であり、同時に細胞内の細胞死誘導経路の解析をレセプター誘導経路、ミトコンドリア誘導経路に関わる分子に焦点をあて解析中である。 In vivoにおける解析としては、ヌードマウスにヒト乳癌細胞株MCF-7細胞をxenograftし,ビタミンC/TRAILあるいはPUFA/TRAIL併用投与を行う。Fish oilを5%含有する餌をマウスに与えたグループをPUFA投与群,コントロールとしてはFish oilの代わりにCorn oilを5%含有する餌を与える。Fish oilを与えたマウスCorn oilを与えたマウスと比べて抗乳癌増殖作用が強い事は報告されている。今回の研究では,TRAILとの併用によりさらに強い乳癌抑制作用が得られる事を期待する。ビタミンC/TRAIL,PUFA/TRAIL併用投与それぞれについて抗腫瘍効果を評価する。ビタミンCを経口投与した場合には生体内組織においてその濃度は0.2mM以上に上昇できない。一方,血管内投与した場合には0.2~10mMまで到達可能である。そこで本課題においてはビタミンC 250 mg/kg BW, TRAIL 10 mg/kg BWの条件で血管内投与する。腫瘍サイズを経時的に測定する。最終的に腫瘍組織は摘出し,重量を計測する。また,組織免疫染色法を用いて,PCNA染色により細胞増殖,TUNEL染色により細胞死,さらにカスパーゼ8の活性化を活性化カスパーゼ8特異的抗体により検出し,コントロール群と各処置群との間で比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予想と異なる研究結果から、平成24、25年度において実施する予定であった動物実験を延期した為。 ヌードマウスにヒト乳癌細胞株MCF-7細胞をxenograftし,ビタミンC/TRAILあるいはPUFA/TRAIL併用投与を行う。Fish oilを5%含有する餌をマウスに与えたグループをPUFA投与群,コントロールとしてはFish oilの代わりにCorn oilを5%含有する餌を与える。今回の研究では,TRAILとの併用によりさらに強い乳癌抑制作用が得られる事を期待する。ビタミンC/TRAIL,PUFA/TRAIL併用投与それぞれについて抗腫瘍効果を評価する。腫瘍サイズを経時的に測定する。最終的に腫瘍組織は摘出し,重量を計測する。また,組織免疫染色法を用いて,PCNA染色により細胞増殖,TUNEL染色により細胞死,さらにカスパーゼ8の活性化を活性化カスパーゼ8特異的抗体により検出し,コントロール群と各処置群との間で比較する。
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Research Products
(4 results)