2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24614020
|
Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
深澤 昌史 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (20238439)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 隆三 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (30127229)
野嶽 勇一 長崎国際大学, 薬学部, 講師 (30332282)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 脂質代謝 / 非アルコール性脂肪肝炎 / 乳酸菌生産物質 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、豆乳の乳酸菌代謝生産物質PS-B1は、高スクロース摂取肥満モデルマウスの脂肪蓄積、高コレステロール及び高インスリン血症に対する改善効果を有し、これが脂質合成系遺伝子発現の抑制によるものであることが示唆された。今年度はさらに、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデルマウスへのPS-B1の効果と、その機序に関する考察を行った。 NASHのモデルであるSTAMマウスへPS-B1を混餌投与したところ、コントロール群に比べてPS-B1高用量投与では肝重量および血漿トリグリセリド値の減少傾向が認められ、またHE染色による病理組織学的解析でも、肝臓への脂肪滴の沈着が軽度な個体が認められた。この改善作用の機序として、一つには肝臓における脂質合成の抑制が考えられたため、肥満モデルマウスの場合と同様にChREBPや解答系・脂質合成系の各種酵素遺伝子の発現を、定量的RT-PCRにて比較した。その結果、コントロール群とPS-B1投与群でこれら遺伝子のmRNAレベルでの発現量に有意な差はみられなかった。 このように肥満モデルマウスとNASHモデルマウスにおいて共に有効性を発揮したPS-B1が、その改善作用においては両者で異なるメカニズムを介する可能性が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に引き続き、動物モデルを用いた実験は共同研究者や学生の臨時雇用により行うことが出来たが、ChREBPの活性化評価系の構築を主体とする分子生物学的解析を殆ど行うことが出来なかった。これは研究代表者の機関内での異動に伴う準備等が大きな理由であり、本年度下半期に殆ど研究遂行に係るエフォートを達成できなかったためである。 尚、上記の理由により補助事業期間延長を申請し、受理された。
|
Strategy for Future Research Activity |
ChREBPの高感度レポーターアッセイ系の構築や、ドミナントネガティブChREBPトランスジェニックマウス用ベクター作成等の分子生物学的実験を殆ど残していることから、これらを中心に研究を進める。尚、実験に従事する時間を有効に活用するため、遺伝子組換えによるベクター等の構築や変異の導入などに、人工遺伝子作成の外部委託を積極的に取り入れることを検討している。
|
Causes of Carryover |
今年度はマウスを用いた動物実験が主体であり、動物飼料や飼育の補助に係る人件費と、肝臓における遺伝子発現を比較するための定量的PCR用試薬購入が主な出費であったため、予算の多くが未使用となった。今回、補助期間延長申請が認められたため、余剰となった予算額を次年度へ繰越すこととした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
一部を外部の人工遺伝子作成に委託して、分子生物学的解析とトランスジェニックマウス作成に用いる遺伝子組換え体の作成、およびトランスジェニックマウス作成の外部委託に予算を使用する。これにより、当初計画通りの予算執行が完了する予定である。
|