2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24615002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大根田 修 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30311872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 年晴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50400677)
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Keywords | 再生医学 / 間葉系幹細胞 / サブタイプ / テーラーメイド細胞治療 |
Research Abstract |
間葉系幹細胞は骨髄・臍帯血・胎盤・脂肪組織・歯髄などさまざまな組織に存在しており、骨・軟骨・脂肪組織に分化する細胞と定義されているが、それだけにとどまらず、血管壁や肝細胞などにも分化する能力を秘めた再生医療に非常に有用な細胞である。しかし、間葉系幹細胞は数が少ない上に特異的なマーカーが存在しないため、生体組織からの分離が難しい。さらに、間葉系幹細胞にはさまざまなサブタイプが有りヘテロな集団であること、由来する組織により性質が異なること、などが臨床応用を困難にしている点として指摘されている。 先の研究において、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を指標として、臍帯血由来間葉系幹細胞に機能的な間葉系幹細胞と機能的ではない間葉系幹細胞の、少なくとも2種類のサブタイプがあることを報告した。 特にアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の高い臍帯血由来間葉系幹細胞が優れた血管再生能を持つことから、異なる組織由来の間葉系幹細胞(脂肪由来間葉系幹細胞)が同様の性質を有しているかどうか検討を行なった。その結果、脂肪由来間葉系幹細胞では、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を指標として血管再生能に違いが見られないことが明らかとなった。一方、骨再生能における脂肪由来間葉系幹細胞と骨髄由来間葉系幹細胞および歯髄由来間葉系幹細胞の比較において、ケモカインを介して脂肪由来間葉系幹細胞が他組織由来間葉系幹細胞より有意に高いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、以下のことを計画した。 1.基礎疾患を有する患者の脂肪由来間葉系幹細胞は、健常者からの脂肪由来間葉系幹細胞と比較して、その増殖能において差が見られることが分かってきた。今後、サンプル数を増やし、同様な傾向が見られるか解析を行なう。加えて、両者の間葉系幹細胞の比較において異なる特性を引き起こす原因遺伝子について探索を行なう。この解析が進展し、原因遺伝子が同定された場合、疾患の症状との因果関係についてさらに詳細な解析を進める新規プロジェクトの立ち上げを考慮する。 2.歯髄組織間葉系幹細胞の単離・培養法を確立し、その発達段階に応じた特性をin vitroとin vivo実験により明らかにする。歯冠完成期、歯根形成期、歯根完成期の3段階に分類し、1)細胞形態、2)細胞表面マーカー、3)細胞増殖能、4)細胞分化能、5)分化細胞における分化系列特異的な遺伝子発現解析、6)低酸素応答性、7)大腿動脈閉塞マウスを用いた血管再生能の解析、8)機能性間葉系幹細胞の単離、を行なう。 1について、健常人から採取した脂肪由来間葉系幹細胞の機能解析を進め、骨髄および歯髄由来間葉系幹細胞と比較して、ケモカインを多く産生することにより、血管再生能が有意に高いことを明らかにした。今後、異なる基礎疾患を有する患者由来間葉系幹細胞の性質の差を引き起こす原因遺伝子について探索を行なう。 2について、歯髄組織間葉系幹細胞の単離・培養法を確立した。現在、上記1)~8)について解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、基礎疾患を有する患者ごとの脂肪由来間葉系幹細胞を継続して単離・培養しており、基礎疾患ごとの間葉系幹細胞の特性について解析を行なう。 以下の2点について、主に研究を進める。 1.基礎疾患を有する患者の脂肪由来間葉系幹細胞は、サンプル数を増やすとともに、健常人由来間葉系幹細胞との比較において、異なる特性を引き起こす原因遺伝子について探索を行なう。疾患に大きく関係するようであれば、その原因となる遺伝子を同定する。 2.歯髄組織間葉系幹細胞について、その発達段階に応じた特性をin vitro(分化実験)とin vivo(動物移植モデル)により明らかにし、差異を認める場合、その原因遺伝子を同定する。
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Research Products
(1 results)