2012 Fiscal Year Research-status Report
自然災害がその後の人生に如何に影響するかー長期避難生活が中高齢者に及ぼした影響ー
Project/Area Number |
24616011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japanese Red Cross Hokkaido college of Nursing |
Principal Investigator |
成島 ますみ 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 講師 (60622123)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 長期避難生活 / 帰島 / 避難生活後の変化 / 生活再建 |
Research Abstract |
本研究の目的は、2000年に起きた三宅島火山噴火に伴う長期避難生活が帰島した島民、未帰島島民のその後の人生にどのように影響しているかを明らかにすることにある。 調査に関して平成24年は、先ず未帰島島民にインタビュー調査を開始したが、計画当初予想していたように対象者を捜し了解を得ることに時間を要している。このグループは平成25年3月31日現在5割程度終了し、データを逐語録に起こしているが緩やかな速度で進行している。データ収集を平成26年3月末までに終了させるべく帰島した高齢者・中高年者にも紹介を依頼し数名の連絡先を得ている。 帰島した高齢者に関しては、全員のインタビュー調査を終了し、現在逐語録から分析に進みつつある。この論文は平成25年12月までに仕上げ、年明けには学会での口頭発表の登録或いは所属する大学の紀要に投稿する予定でいる。帰島した中高年については既に2人に対し1回目の調査を実施したが、平成25年9月から12月に残り8人のインタビュー調査を予定し、依頼している。 日本では災害により長期避難生活を送らざるを得ない事態が発生しており、今後もその可能性は大きいと考えられる。先行文献(量的研究)から、長期避難生活のその後への影響は部分的に明らかに成っている。しかし、インタビュー調査を用い何がどのように変化しているのか被災者の声・思いをまとめ実態を把握することは、今後の災害復興・生活再建に対しどのような支援が有効であるかを考える上で重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査に関して平成24年度は、先ず未帰島島民にインタビュー調査を開始したが、計画当初予想していたように対象者を捜し、了解を得ることに時間を要している。避難解除後も内地に暮らす人々は、三宅島出身であることを隠して暮らしている人も多く、横の連絡はとぎれがちで、転居後連絡は取れず、転居先が不明となり、点として存在しても線としてつながりにくい現状がある。高齢者は時間に余裕があり、対象者さえ見つかれば調査可能であるが、転居等で連絡が取れず、協力依頼まで進まないことも多々ある。入手したリストの半数近くは連絡が取れなかった。一方中高年は勤労世代であり、休日にインタビューを依頼することに成るため、連絡は着くが協力を得られないケースが多く、対象者との面談までに時間を要している。帰島した島民の家族にも協力を依頼しているが、子ども世代は勤労世代であり、インタビュー調査をなかなか受けて貰えない。内地に暮らす未帰島島民の調査は時間をかけ、10人まで収集する予定である。 帰島した高齢者に関しては、全員のインタビューを終了し、現在逐語録から分析に進みつつある。島では予定していた人が急に次ごうが悪くなっても、別の人がインタビューを受けてくれる等協力を得ている。三宅島の中高年対象者2人に対しては、1回目の調査を実施し、残り8人に関しては依頼の文書を渡し、平成25年9月に調査に入ることをキーパーソンと成っている人物に説明済みである。島に渡りさえすれば調査対象者に問題は生じない。
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Strategy for Future Research Activity |
・ 帰島した高齢者に関してインタビュー調査はほぼ終了しており、平成25年度はデータを元に論文作成に進む。平成25年12月までに仕上げ、平成26年の年明けには学会発表の登録を考えている。 ・ 帰島した中高年については、平成25年度から本格的にデータを収集する。既に2人の1回目調査を実施したが、平成25年9月以降年内に三宅島において残り8人のインタビュー調査を予定している。キーパーソンとなる人への研究に関する目的・趣旨等の説明は終了しており、協力してくれる8人も探してくれている。 ・ 内地に暮らす未帰島島民へのインタビュー調査を平成25年度も継続する。帰島した島民に紹介を依頼し、現在数名の候補が上がっているが、今後連絡を取りインタビュー調査への協力を依頼する。 ・ 今回の調査でインタビューを実施出来なかった未帰島島民に関して、島民の帰島を推進し連絡事務所として機能しているNPOに現状と問題点等の聞き取り調査を考えている。ここから得られたデータは、時間が許す範囲で論文にまとめ、学会での発表を考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・ 研究を進めるに当たって、東京在住の研究対象者へのインタビュー調査を計画し予算を計上したが、対象者がなかなか決まらず、東京での調査回数が減った。このため旅費及び逐語録作成の予算が持ち越しとなった。 ・なかなかデータ収集が実行出来なかったことから当初の見込額と執行額が異なった。 ・平成25年度は前年度の研究費も含め当初の予定通り研究を進める。
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