2014 Fiscal Year Annual Research Report
自然災害がその後の人生に如何に影響するかー長期避難生活が中高齢者に及ぼした影響ー
Project/Area Number |
24616011
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Research Institution | Japanese Red Cross Hokkaido college of Nursing |
Principal Investigator |
成島 ますみ 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 講師 (60622123)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 帰島高齢者 / 帰島中高年者 / 未帰島島民 / 独居高齢者 / 親子関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、調査を通し避難した4年半の空白が島民にどのような変化をもたらしたか、その原因及び誘因と変化の因果関係を明らかにしたいと考えた。調査対象者は、帰島した高齢者10名、帰島した中高年者10名、未帰島高齢者4名、未帰島中高年者4名の計28名であった。 最終年度は、収集したデータを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチのワークシートを用いて分析し、グループ間で共通している項目からサブカテゴリー、カテゴリーと分析を進めた。 調査から三宅島では家を継ぐ中高年者の多くが未帰島であるため、島に暮らす老親が一人で生活出来なくなった際には、内地に連れて行くということを帰島する際に親子で話し合っていた。子ども世代である中高年者が親を引き取る要因として、①船ではすぐに親の元へ行かれない ②島では訪問看護サービスが実施されておらず、一人暮らしに限界がある ③島の特老は1か所だけで待機者が多くすぐに入所できない等が考えられた。老親を早めに引き取ることは今後も続くであろうと容易に考えられる。高齢者は今三宅島に居ることが出来る幸せを何度も語っていた。避難前は我が家で最期を迎えることが普通であった。しかし避難解除後は内地に暮らす子ども世代が多く、それに伴い親子関係と人生の最期の迎え方も変化した。また、どの集落でも共通の問題は若い世代の就労場所が無いことであった。未帰島者は帰島を考えておらず、親が島に居る場合「将来引き取る」と語っていた。帰島した高齢者は避難する際、「島にもう帰れないような気がして悲しかった」と語っていた。このことから帰るべき所を失う心の痛手は時間が解決できない深く難しい問題であることを再認識した。 最終年度は学会発表1回、投稿2編を予定していたが体調不良で出来なかった。成果物提出後になるが、島民の思いを予定数以上に学会で発表し、雑誌に投稿する予定でいる。
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