2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24616012
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
下島 裕美 杏林大学, 保健学部, 准教授 (20306666)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蒲生 忍 杏林大学, 保健学部, 教授 (90122308)
島田 正亮 杏林大学, 医学部, 助教 (80580563)
石川 智 杏林大学, 医学部, 助教 (70580562)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 / 米国 |
Research Abstract |
H24年度の成果は下記3点である。 ①Narrative-Based Medicineについての実例調査:研究協力者である米国ワシントン大学のマコーミック博士を日本に招聘し,終末期医療に関わる関係者を対象とした医療倫理セミナーを開催した。医療倫理ジレンマの解決ツールである4ボックス法について解説した後,参加者は小グループに分かれて事例分析を行った。グループ毎に分析結果を発表した後,マコーミック博士から米国における解決方法のレクチャーをいただき,医療における物語の役割と文化差についてディスカッションを行った。 ②新しい五色カード法の準備:①の医療倫理ジレンマ例および近年マコーミック博士が経験した事例をもとに,五色カード法の新しい物語について打ち合わせを行った。日本で実施した五色カード法の感想をもとに,日本独自の改良を加えた実施方法の変更についても検討した。引き続きマコーミック博士とファーバー博士の協力を仰ぎながら,H25年度以降に新しい五色カード法の物語を完成させ,実施予定である。 ③エンディングノートとFive Wishesの内容分析:自記入式で現在入手可能なエンディングノートを入手し,Five Wishes日本語版と内容を比較検討した。H25年度以降は,分析により明らかとなった相違点をもとに面接シートを作成,ケア提供者とケア対象者に対する面接を実施し,エンディングノートとFive Wishesに対する両者の感じ方の違いを明らかにする。 以上の成果に基づき,H25も引き続き,日常的に死に直面する「ケア提供者」を対象とした実用的死生学教育ツールの開発を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度の予定は以下の2点であった。(1)「終末期に対する意識を高めるツールであるエンディングノートとFive Wishesの分析(エンディングノートとFive Wishesの内容分析・エンディングノートとFive Wishesの実施および面接調査)」。(2)「物語医学Narrative-Based Medicineについての実例調査」。 H24年度の進捗状況は下記の通りである。(1)日本で入手可能な自己記入式のエンディングノートおよびFive Wishesの日本語版を入手し,両者の内容を比較検討した。この結果をもとに面接シートを作成し,ケア提供者に面接調査を実施予定であったが,3月末のマコーミック博士の招聘に合わせて研究詳細を打ち合わせるために,H25年度以降に実施を延期した。 (2)H24年3月にワシントン大学のマコーミック博士を日本に招聘し,セミナーを開催した。マコーミック先生から米国における物語医学の実例をレクチャーいただくと共に,参加者から日本における現状について紹介があり,文化差について議論を行った。 (3)H25年度以降に実施予定であった「五色カード法の新しい物語の作成」に着手した。終末期に対する意識の文化差と五色カード法を実施した下島・蒲生(2009)を参考に,共同研究者の石川・島田(臨床心理士)と共に,マコーミック博士と打ち合わせを行い,物語の改訂を行った。 以上より,当初の予定にほぼ沿ったスケジュールに沿って,おおむね順調に研究が進行していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の予定は下記の通りである。(1)エンディングノートとFive Wishesの実施及び面接調査。(2)五色カード法の新しい物語の作成。(3)「ケア提供者」への死生観教育ツールとしての日本版五色カード法の検討。 H25年度は(1)および(2)を,H26年度は(3)を実施する予定である。 (1)H24年度に実施したエンディングノートとFive Wishesの内容分析をもとに作成した面接シートをもとに,ケア提供者を対象とした面接調査を実施する。終末期医療の現状を熟知したケア提供者からの意見をもとに,エンディングノートに加えることが望ましい新たな項目や,必要のない項目について検討する。(2)H24年度のマコーミック博士との打ち合わせをもとに,五色カード法の物語の改訂を進める。現在作成済みの物語について,現場を熟知したケア提供者の意見をいただく。ケア対象者向けの物語とケア提供者向けの物語の違いについて検討しながら,改訂作業を進めていく予定である。(3)H26年度は,H25年度に完成予定である五色カード法物語をケア提供者を対象として実施し,(1)と合わせて,ケア提供者を対象とした死生学教育ツールの開発を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度はエンディングノートとFive Wishesの内容分析に加え,ケア提供者を対象とした面接調査を実施予定であった。しかし,研究協力者であるマコーミック博士の招聘が3月末となり,内容を打ち合わせてからの面接調査が望ましいとの判断から,H25年度に延期した。そのため,H24年度に予定していた調査協力者への謝礼および調査資料整理の人件費をH25年度に繰り越すこととなった。H25年度は,五色カード法の新しい物語についてケア提供者の意見をうかがうため,謝金および調査資料整理の人件費を予定している。また,H24年度の成果を論文として公刊するため,英文校閲費用を予定している。海外研究者の招聘も準備中である。
|