2013 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害時の被災者ケアにおけるICT(情報通信技術)の活用に関する研究
Project/Area Number |
24616013
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮川 祥子 慶應義塾大学, 看護学部, 准教授 (00338203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 郁容 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 教授 (70169564)
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Keywords | 災害支援 / ICT(情報通信技術) / 支援団体 |
Research Abstract |
東日本大震災の被災地では、多くのNPOやボランティア団体が現地に入り、継続的に心身のケアを中心とした健康支援、物資・情報の提供や家財の復旧といった生活支援等の被災者ケアを行っている。このような支援団体に対して、ICT(情報通信技術)関連の企業や団体は様々な支援を行ったが、これらの支援はどのように活用され、又どのような課題があったのか。本研究では、大規模災害時の被災者ケアにおけるICTの有効性と課題を明らかにすることを目的として、下記の項目を実施した。 1) 2012年度に実施した東日本大震災被災者支援団体のICT活用と情報共有に関する実態調査の回答を分析し、その結果を日本NPO学会にて発表した。また、アンケートへの回答のなかから、特徴的な取り組みを実施している団体を抽出し、うち3団体ついてヒアリング調査を行った。 2) 2012年度に東日本大震災被災者支援団体に対してICT支援を行った企業・団体へのヒアリング調査の分析を行った。この調査の結果、組織のミッションとの整合性・資金・物資・人材・ロジスティクス・マッチング・リスク管理に関する課題が存在することが明らかになった。この結果をもとに、今後質問紙を設計し調査を実施する予定である。 3) 米国におけるハリケーンアイク・ハリケーンサンディの被害からの復旧活動におけるICTの役割について継続調査を実施した。 4) 東日本大震災で被災した自治体・学校関係者へのヒアリングを行い、情報課題の抽出と対応策の検討を行った。自治体の災害対策本部、避難所、学校でのエピソードを収集し、そこから情報に関連する課題を抽出した。これらの課題は発災以前・発災直後・緊急支援期・復興期に分類された。さらに、この結果を受けて、これらの課題に対応するための体制および情報システムの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被災者支援団体のICT活用と情報共有に関する実態調査は、ほぼ分析が終了し、団体の規模や活動の特徴別ごとに、どのようにICTを活用し、どのような課題があるのかが明らかになった。また、被災者支援団体に対してICT支援を行う団体が支援を骨子するに当たって課題となり得る項目の抽出が完了し、この項目を元に調査を実施する準備が整いつつある。さらに、被災地の自治体・学校関係者へのヒアリングにより、東日本大震災の発災から復興期までの様々なステージにおいてどのような情報課題が存在するのかが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
被災者支援団体のICT活用と情報共有に関しては、データ分析をさらに進めて、必要とされるICT支援のモデル化を試みる予定である。また被災者支援団体に対してICT支援を行う団体への調査を実施し、ICT支援を行うに当たっての課題の抽出とそれらの課題にどのように対応すべきかの検討を行う。この検討は、各分野の専門家を招聘し、法律・制度的側面、技術的側面、組織的側面といった多様な面から実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度実施する予定であった、ICT支援を実施した企業・団体への調査について、次年度に実施することとしたためその費用を次年度に繰り越すこととした。 繰り越し費用は、ICT支援を実施した企業・団体への調査実施費用として充てる予定である。
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Research Products
(2 results)