2012 Fiscal Year Research-status Report
特別養護老人ホーム入所者の終末期を支えるチームケアに関する研究
Project/Area Number |
24616018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinjo University |
Principal Investigator |
田中 克恵 金城大学, 社会福祉学部, 准教授 (20387393)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ターミナルケア / チームケア / 社会福祉関係 / 看護学 |
Research Abstract |
近年、特別養護老人ホーム(以下、特養)入所者の重度化が進むと共に、老人ホームで死を迎える人がわずかであるが増加している。入所者のいつからが終末期なのかその判断は難しく、また、医療を必要とすることがあり、終末期には医療職を含めた多職種によるチームケアが必要不可欠とされている。しかし、多職種間の連携や情報伝達に不足があると報告されており、多職種が集まれば質の高いケアを提供できるとは限らず、チームとして連携・協働する努力が必要である。特養の終末期ケアに関する先行研究において、ケア目標やチームの構成員とその役割、カンファレンスの重要性などについて触れているものはあるが、多職種によるチームケア(本研究では、「施設内外の職種を越えた多職種が利用者情報を共有し、連携・協働するための仕組み」と定義する)の全容を捉えたものは今のところ見当たらなかった。そこで本研究は、特養入所者の終末期に関わる多職種によるチームケアの全容を捉え、その要因を明らかにすることを目的とした。 平成24年度は、先行研究をもとに調査票を作成し、郵送によるアンケート調査を実施した。なお調査票は、終末期ケアを実施している特養2施設でプレテストを実施し、一部修正したものを使用した。調査対象は、厚生労働省「介護サービス公開情報システム」に掲載(平成24年12月下旬~平成25年2月上旬の期間中)されていた6,224の老人福祉施設(地域密着型施設を除く)のうち、主な介護報酬の加算「看取り介護を実施」として公表されていた3,108施設とした。調査内容は施設の基本情報、加算算定状況、医療体制、終末期ケアに関する施設の体制、終末期ケア実施事例における多職種連携・協働の内容・方法、及び工夫などである。 平成25年3月末日現在、調査票を回収しデータ入力に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、特養の終末期を支える多職種によるチームケアの全容を捉えその要因を明らかにすることを目的に、全国の特養を対象とした量的調査、及びその結果を踏まえたグループインタビューによる質的調査で設計されている。現在、先行研究レビュー及び量的調査における調査票の回収を概ね終えており、当初の計画通りに進行していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、回収した量的調査データの解析・分析、及び質的調査に向けた準備、平成26年度には質的調査及び研究成果報告を予定している。特に、回収した調査データは当初より内容にボリュームが増したため、入力作業に時間を要すると思われる。現在、研究協力者2名を含めた4名で入力作業を進めているが、平成25年6月中にその作業終了を目指している。また、量的データの分析には統計ソフトを使用し、作業の効率化と信憑性の確保に努めるが、自由記載による質的データはテキストマイニングソフトを活用して分析の客観性を高め、データの有効活用を目指す。そして、特養の終末期に関わる多職種が利用者情報を共有し、連携・協働するための要因について検討したい。 質的調査として、平成26年度に多職種を対象としたグループインタビューを予定しているが、その準備として、平成25年度中にインタビューガイドの作成と調査対象者を決定する。対象者の選定に苦慮することが予測されたため、既に行った量的調査において、今後グループインタビューを実施する予定であることを文章で申し添え、調査協力が可能な施設を募集したところ、73施設から協力の申し出があった。これらの施設から対象者を選定する予定である。 また、質的調査を行うには、研究代表者1人による研究組織では困難が予測されるため、平成25年度より研究協力者とは別に連携研究者1名を置き、調査研究に取り組むこととした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、当初の計画に準じて関連図書・雑誌の購入、質的調査に必要な物品購入、関連学会・資料収集等に係る旅費及び参加費、回収した量的調査データ入力作業にかかる人件費、資料整理及び研究を遂行するうえで必要な事務用品等の購入、会議費等の使用を計画している。 このうち使用予定金額の大きな変更として、2点ある。1点目は、平成25年度より連携研究者1名を置いたことから、連携研究者の関連学会の参加等に掛かる旅費・参加費が発生することである。2点目は、量的調査内容のボリュームが増したことによるデータの入力作業に掛かる人件費・謝金の増加である。この費用については、主に前年度繰越金を充てる予定である。 また、当初計画から使用費目に2点の変更を予定している。1点目は量的調査票の回収に掛かる通信費を後納払いとしたことにより、平成25年度に通信費が発生したことである。これについては前年度通信費分の繰越金を充てる予定である。2点目に、平成26年度に計画しているグループインタビュー参加者募集のためのホームページ作成にかかる費目の変更である。既に、量的調査時においてインタビュー協力に関する予備調査を実施したため、ホームページを活用した協力者募集の必要性はないと判断したためである。代わりに協力者との連絡・調整のための通信費が必要となるため、ホームページ作成費用を通信費等に充てることとした。
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