2014 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における言語様式の重層性と文化的越境の研究
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24617005
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
イ ヨンスク 一橋大学, 言語社会研究科, 教授 (00232108)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 言語的多様性 / 文化的越境 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度においては、異なる言語共同体を結びつける媒介言語の意義を探ることと、異文化に越境した人間の経験の意味を具体的な歴史的文脈に位置づけることを目標とした。前者については、近年日本語教育の分野で精力的に進められている「やさしい日本語」を、日本語母語話者と日本語非母語話者を結びつける媒介言語としてとらえる可能性について検討し、シンポジウムにおいて成果を発表した。後者については、シンガポール国立大学で開催された“AAS in Asia Conference; Asia in Motion: Heritage and Transformation”において、海外の研究者3名をを含めたチームにより、“East Asian Women and the National Borders: Heritage and Transformation in Border-crossing Migration”と題したパネルを組み、近代初期の日本における女性の文化的越境に関した研究発表を行うとともに、代表者として全体のを統括した。 本研究は、社会的に構成された言語表現の枠組みである言語様式という概念を媒介にして、近代日本の言語文化を多元的・複眼的にとらえることを目的とした。研究の視点として、(1)日本の言語文 化の内部に存在する多様性と重層性に注目すること、(2)日本から外へ向かう方向、ないし外から内へ向かう方向をともなう文化的越境性の問題を扱うことを設定した。平成24年度においては(1)の方向で研究を進め、平成25年度・26年度においては(2)の方向で研究を進めた。最終年度においては、さらにジェンダーの視点を取り入れることにも成功した。こうした複数の視点を交錯させることによって、ナショナルな枠組みには回収されない近代日本文化の動態性・越境性を明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)