2015 Fiscal Year Research-status Report
異文化環境における「人生紙芝居」の有効性:コスタリカでの実証研究
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24617014
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Research Institution | Kyushu Lutheran College |
Principal Investigator |
糟谷 知香江 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 准教授 (30337274)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナラティブ / 心理学 / コスタリカ / 貧困 / 難病 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度の研究実績の概要は以下の通りである。 (1)ストリートチルドレンを主題とした人生紙芝居の上演:紙芝居のストーリーがストリートチルドレンへの理解を促進するか検討する目的で、コスタリカ首都近郊の2つの公立小学校の協力を得て、小学1~6年生を対象として上演会を行った。上演したのは25年度に制作した人生紙芝居である。上演後、ストーリーに関するいくつかの質問に回答させ、子どもたちの理解度を調査した。結果については28年度に分析・発表する。 (2)難病患者の紙芝居制作:鎌状赤血球症という難病は極度の疲労感と激しい痛みをもたらす。子どもの患者は症状のために学校を欠席することが多く、教師やクラスメイトから怠けていると誤解されがちである。学校関係者が症状について理解すれば、子どもの患者の生活の質は向上すると考えられる。本年度は、26年度に制作したある患者の人生紙芝居をもとに、患者団体と詳細な検討を行いつつ新たな紙芝居を完成させ、団体に贈呈した。 (3)人生紙芝居の心理的効果についての理論的検討:これまでの人生紙芝居制作事例をもとに、生活史の語り手に対する心理的効果について理論的検討を行った。対象は近親者との死別経験者である。死別という困難な経験を含む一つのストーリーとして人生を捉えることに人生紙芝居が寄与していたが、これは、単に過去の経験を整理するだけではなく、過去・現在との連続線上に未来を位置づけることにもつながることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査地の事情により、「研究実績の概要」(1)で記した人生紙芝居の上演会を当初計画の1年遅れで27年度に実施したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画から1年遅れであるが、「研究実績の概要」(1)に記したように、28年度は結果を分析し公表する計画である。
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Causes of Carryover |
用額が生じた理由と使用計画】 (理由)現地の治安状況の変化を考慮して、調査地を当初計画から変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度に予定していた学会発表等を1年遅れで行う計画である。
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Research Products
(1 results)