2013 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化の進展に伴うマイノリティの新たな生存戦略と越境移住ネットワーク
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24617020
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
石井 香世子 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 准教授 (50367679)
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Keywords | 移民 / マイノリティ / 移民ネットワーク / タイ / マレーシア |
Research Abstract |
Journal of Ritsumeikan Social Sciences and Humanities Vol.6に、特集Special Issue: Another Face of Malaysia as a Multi-Ethnic Country; Migrant Thai and Indian, Local Orang Asli and Dayakを組んだ [(1)K. Ishii “Minority Migrant Networks Scattered Thailand, Malaysia, and Countries Further Away: Research Scope and Plan”(2)N. Klanarong “Social Network of Illegal Thai Migrants Working in Food Shops in Malaysia (3)S. Bunmak “Migrant Networks and Gender Issues among Migrant Nayu Workers to Malaysia”]。 また2013年度日本社会学会で、テーマ・セッションEmpirical Analysis of Trans-national Network of Minoritiesを立ち上げた[M. R. Sathian,“Transnational Networks of South Asian Trading Communities University of Malaya” Bunmak,“Migration Networks and Ethnic Resources”K. Nisakorn,“ Thainessof Thai migrant workers in small dried fish factory in Langkawi Island, Malaysia”K. Ishii,“Migration Networks among “Chinese” Migrant Workers from Thailand to Malaysia”]。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ネイション構築過程で周辺化されたマイノリティの人々がグローバル社会において展開している新たな生存戦略を、エスニック・マイノリティの越境移動に基づく生存戦略を事例に分析した。3人の研究協力者(タイ・タクシン大学のSutthiporn Bunmark氏とNisakorn Klanarong氏、またマレーシアのマラヤ大学のMala Rajo Sathian氏)の協力を経て、合計4つの事例からこの分析を進めている。 具体的には、Bunmak氏は①「イスラム性」を利用して越境ビジネスを展開するタイ国内のマレー・ムスリム人の事例を、またSathian氏は②「商品化されたタイ・イメージ」を利用して越境ビジネスを展開するマレーシア国内のタイ系の人々についての事例を、また石井は③「中国人性」を利用してマレーシアおよび周辺諸国にトランス・ナショナルな出稼ぎネットワークを構築している北部少数民族(旧国民党軍兵士の家族およびその子孫)、さらにNisakorn氏は④「タイ女性」イメージを利用してマレーシアに出稼ぎにいくタイ国内のマレー系民族を分析対象としてきた。 これまでは各自がフィールド調査を実施し、年に1回のペースで日本で開催される会議やワークショップでセッションを立ち上げて発表をしながら、相互の調査について報告しあってきた。この作業を2年間滞りなく進めたことにより、最終年度となる今年度に実施する予定である理論的なとりまとめ(国民国家システムのもとで周辺化されたマイノリティは、グローバル化の進行によってさらにマージナライズされた存在となっていくのか、それとも国民国家システムの枠組みを超えて“居場所”を確保していくのかの検証)を進めるに十分なフィールド調査結果が蓄積されたと言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研費研究では、これまでの2年間に蓄積されたフィールド調査結果を比較分析し、最終年度として理論的なとりまとめを行うため、マレーシアでのワークショップの開催と、雑誌の企画特集号としての投稿を計画している。 まず現在、昨年度11月の日本社会学会での発表ペーパーについて、メンバーが相互のコメントをもとに修正中であり、それらのペーパーを再度発表しあう場として、2014年度9月26-27日(予定)に、マレーシアのマラヤ大学で第2回ワークショップの開催を計画している。 このマラヤ大学ワークショップでは、研究協力者の1人Sathian氏を中核として他の研究協力者およびその周辺で同様の主題で発表ができる人を5~6名、それに加えて同主題の研究を国際的にリードしている研究者をコメンテーターとして呼ぶことを計画している。その発表ペーパーへのコメントと議論を踏まえて、各共同研究者は再度のペーパーの書き直しをする予定である)。 そして、マラヤ大学ワークショップでのコメンテーターをIntroduction執筆者(それが無理ならば推薦者)として国際的な学術雑誌への特集号としての投稿をする予定である。特集号としての投稿を受け付けている国際的な学術雑誌としては、現在のところAsia Pacific Migration Journal (http://www.smc.org.ph/apmj/)を想定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究責任者の体調不良により、予定していたフィールド調査が一回分実施できなかったため、その調査分の費用が余った。 平成25年度に行けなかったフィールド調査を平成26年度に実施したい。
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