2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24617024
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
王 冬蘭 帝塚山大学, 経済学部, 教授 (80319920)
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Keywords | 中国 / 満州 / 能楽 / 活動 |
Research Abstract |
本研究では、「満州」各地における日本代表劇ー能楽の活動に着目し、1945年までの各流派の現地公演、能楽組織及び活動など、全体的な歴史の実態を調べ、明確にすることが目的である。 平成25年度は、主に以下の三つのテーマについて研究を進めて来た。1、昨年に口頭発表した「大連にあった幻の能舞台ー1945年まで現地における能楽活動の場所を中心にー」を論文にまとめた。2、「戦前、撫順における梅若流の活動についてー梅若流師範梅田富三郎父子及び梅田舞台を中心に」というテーマについて調べてきた。3、「1945年まで、満州(中国東北地方)における梅若流の能楽活動 」というテーマについて調べてきた。 それぞれのテーマの内容と進展は下記の通りである。 1に関しては、論文を完成し、『芸能史研究』に投稿、205号に掲載する予定である。 2に関しては、2月9日に六麓会(関西における能楽研究会)で口頭発表した。現在論文をまとめているところである。要旨は下記の通りである。撫順における梅若流の展開、具体的には、梅若流派遣謡曲師範梅田富三郎と長男梅田正太郎父子及び撫順における梅田宅にある能舞台「梅田舞台」を中心に調べてきた。梅田父子は当時の梅若宗家とずっと繋がりながら、撫順を拠点にして能楽活動を展開した、その展開の概ねを追及するのがこの研究の狙いである。以上の口頭発表について『観世』という雑誌に報道されると、戦後日本に戻った梅田正太郎の謡曲師範を受けた弟子が連絡してくれ、貴重な資料も提供してくれた。 3は、1945年まで、満州(中国東北地方)の各地や植民都市大連の日本人社会における梅若流(当時の呼び方)の現地の活動の全体像を追究するというテーマである。現在、この視点の研究はまだ行われていない。これは、大量な資料を調べているうちに、考えてきたテーマである。平成26年9月7日に『芸能史研究』の例会で口頭発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、全体のテーマ「満州における日本演劇「能楽」の活動実態調査研究」の中のいくつかの具体的なテーマを研究しているところである。一つ目のテーマ「大連にあった幻の能舞台ー1945年まで現地における能楽活動の場所を中心にー」について論文のまとめは完成した。もう一つの具体的なテーマ「戦前、撫順における梅若流の活動についてー梅若流師範梅田富三郎父子及び梅田舞台を中心に」については、資料を集め、2月9日に能楽研究会六麓会で口頭発表し、現在論文にまとめているところである。もう一つの具体的なテーマ「1945年まで、満州(中国東北地方)における梅若流の能楽活動 」については、現在資料を調べているところである。当初「1935年に宝生流の満州における大規模能楽上演活動などについて」をまとめようと思っていたが、資料を調べている内に、梅若流の満州全域の能楽活動の全体像を先にまとめた方が良いと考えた。この調査について順調に進展している。 しかし、平成25年度は、授業担当などの関係で、現地調査の時間を十分に確保することができなかった。できる範囲で撫順における能楽活動に関する資料を集めたが、撫順の現地調査はまだ行なえておらず、この現地調査は26年夏にしなければならないという状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を予定通り展開してきたが、決まった具体的なテーマをもっと具体的に絞らなければならない。たとえば、「1945年まで、満州(中国東北地方)における梅若流の能楽活動 」というテーマについて、下記の諸方面で展開しようと考えている。一、梅若流の旧満州における能楽活動の開始 。二、梅若流「満州支部」の設置事情。三、『満州梅若』の刊行 。四、梅若流宗家一門満州における巡回演能活動およびその他の能楽活動 。五、満州各地における梅若流謡曲社中。 研究の推進方策として、次のように考える。 1、資料調査にもっと力を入れる。終戦からすでに半世紀以上が経過しており、関係者が非常に少なくなってきた。関係者のことがわかればインタビューするなどの方法を考える。 2、現地調査や現地資料収集にもっと力を入れる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
授業の関係などの原因で、現地調査などを計画通り実施することができなかったため。 資料調査現地調査のための旅費、図書、資料購入、文献複写代などを計画している。また必要に応じて研究協力者への謝礼などの支払いを計画している。 合計74万
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