2015 Fiscal Year Research-status Report
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24617024
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
王 冬蘭 帝塚山大学, 経済学部, 教授 (80319920)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植民地 / 満洲 / 能楽 / 謡曲 / 台湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度主に以下の研究に力を入れた。 *「戦前、満州あたり(中国東北地方)における梅若流の能楽活動」という研究テーマについて、より詳しく調査、確認、論文をまとめ、『演劇学論叢』(大阪大学)に投稿し、掲載される予定である。 本文では戦前、一九四五年まで満洲現地の当時の梅若流の活動や梅若流宗家との繋がりについて絞り、当時の梅若流の「満洲」周辺における活動を考察している。主に、「梅若流満洲支部」の設置、月刊誌『満洲梅若』の刊行 、梅若六郎(五十四世)一門の満洲における活動について考察している。 *「満洲」における能楽について資料収集を行う過程で台湾における能楽記事を見つけ、戦前の日本統治下の外地における能楽活動という視点から、それに関連する資料にも注意を払い、収集を続け、下記の研究実績を上げた。「戦前の台湾における新作謡曲について―『台湾日日新報』『台湾新報』に掲載された新作謡曲を中心に―」というテーマについて、芸能史研究会例会で口頭報告してから、論文をまとめ、帝塚山経済・経営論集第26巻(平成28年3月)に掲載された。本稿は台湾の歴史の流れにおいて新作謡曲が出現したことに着目し、あまり知られていない『台湾日日新報』『台湾新報』に掲載された新作謡曲「剣が岡」「新高山」「国姓爺」「ステッセル」の存在を指摘し、それらの新作謡曲の作成趣旨、背景及び掲載の目的について追及する。 *帝塚山大学科研費報告会(3月19日)で「「満洲」における能楽―能舞台を中心に―」というテーマで報告した。 *「戦前における松山能楽界と台湾及び満洲とのつながり」「森川荘吉と大連能楽殿・水道橋能楽堂」という研究テーマを確定し、資料調査を行い、近いうちに報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、全体のテーマである「満洲における日本演劇の活動実態調査研究」の中の具体的なテーマについて資料収集、研究している。満洲における能舞台、例えば、当時の現地で作られた常設能舞台、大連や撫順にあった能舞台の建造経緯、利用状況等について、明らかになってきた。さらに、梅若流の満洲における能楽展開と、松山能楽界と台湾及び満洲とのつながりについても調査により明らかになりつつある。 しかし、研究は予定より遅れている。理由としては、満洲における能楽の資料収集が順調に進まなかった事が挙げられる。現地の資料が散逸したか、あるいは整理されていない等の理由で、閲覧することができなかった場合があった。 また、授業担当等の関係で、現地調査の時間を十分に確保することが出来なかった事も原因として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を展開することに従い、研究範囲は「満洲」だけではなく、「満州」能楽界と日本能楽界のつながり、「満州」と同じ漢語圏の植民地台湾能楽界の関連等も視野に入れ、調査研究を拡大することを考えている。「戦前における松山能楽界と台湾及び満洲とのつながり」「森川荘吉と大連能楽殿・水道橋能楽堂」という具体的なテーマも新しく確定してきた。
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Causes of Carryover |
授業の関係などの原因で、現地調査などを計画通り実施することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料調査、現地調査のための旅費、図書、資料購入複写、文献代などを計画している。また必要に応じて研究協力者への謝礼などの支払いを計画している。 研究結果を社会に発信する際にかかる費用(論文修正など)を計画している。 合計72万
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[Book] 風姿花伝2016
Author(s)
著者 世阿弥、監訳 天野文雄、翻訳 王冬蘭
Total Pages
196
Publisher
(中国)吉林出版集団有限責任公司
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