2013 Fiscal Year Research-status Report
不動産証券化に対する不動産市場と金融市場の認識ギャップに関する研究
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24618006
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
植松 丘 政策研究大学院大学, 政策研究科, 客員教授 (50626653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 秀夫 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (60251633)
久米 良昭 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (60316643)
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Keywords | 金融市場 / 不動産市場 / 不動産投資信託 |
Research Abstract |
不動産証券化市場の形成に至る法制史及び市場実態の調査分析を目的として、(1)から(3)の分析を通じて、現在の不動産市場と金融市場の認識ギャップの原因を市場成立過程から分析するとともに、その融合のための方策を抽出した。 (1)戦後の証券取引法及び宅地建物取引業法の制定経緯と市場の実態調査分析……証券取引法及び宅地建物取引業法制定に至る経緯と背景を、法制定過程における政府審議会資料、国会議事録、法律解説書、新聞記事等文献を収集・分析した。加えて、法制定時における証券市場及び不動産取引市場に関する業界誌等文献及び統計データを収集・分析することにより、不動産証券化に対する不動産市場と金融市場の認識ギャップの源流を解明した。 (2)不動産投資信託制度創設の試みと失敗(1964年)の経緯に関する分析……不動産投資信託制度に関する政府審議会資料、新聞記事等文献を収集・分析した。併せて関係者へのヒアリング等を行うとともに、当時発足間もない証券投資信託市場に関する業界紙誌等文献及び統計データを収集・分析することにより、構想が失敗に至った原因を探るとともに、そこから得られる今日の不動産証券化に関する知見を分析した。 (3)不動産特定共同事業法(1994年)の制定経緯と商品特性の分析……法制定過程での政府審議会資料、国会議事録、解説書、新聞記事等文献を収集・分析した。くわえて現在発行されている特定共同事業商品の資料を収集し、募集業者および運用業者へのヒアリングにより商品特性分析を行うとともに、可能な業者の協力を得て投資者アンケートを実施することで、投資者属性を分析し、不動産特定共同事業法の現代的意義を解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的である不動産市場と金融市場の間に存在するギャップの形成過程を解明しつつあるため、計画通りの成果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
不動産証券化市場を取り巻く規制及び商慣習の実態調査 (1)投資家保護のために導入された不動産証券化規制に関する実態調査……日本では、不動産証券化市場整備にあたり、「投資者保護」を目的として、不動産、金融両市場に対する市場整備のために段階的に規制が強化された。文献調査に加えて専門業者に対するヒアリング等を通じて、金融市場から不動産市場に対して整備・開示を要求されたデータ項目・作成書類を時系列で整備するとともに、その作成コスト等に関する実態調査を行う。 (2)ノンリコース・ローンに関する契約書収集及び契約条項分析……日本で最初のノンリコース・ローン契約から現在使用されている標準的な契約まで、市場活況時(2004・2005年)、リーマンショック後(2008・2009年)など、時代の変遷ごとに実際の契約書を収集し、契約条項の変遷とその背景を分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実態調査を進める中で、証券化の導入による効果の実証分析方法についての収集データ項目及び分析手法を明らかにすることができたため、支出用途を一部変更したものである。 市場データの収集及び証券化の導入による効果の実証分析を行う。
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