2012 Fiscal Year Research-status Report
欧米大都市における労働・住宅政策の変容とソーシャル・ミックス
Project/Area Number |
24618011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小玉 徹 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (00170267)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 民間賃貸、ドイツ / 労働・住宅、イギリス / 社会住宅、フランス |
Research Abstract |
2012年度の「研究の目的」、「研究実施計画」では、欧米における住宅政策のタイプをソーシャル・マーケットとコマンド・システムに区分し、この2つのタイプにアフォーダビリティ型とセーフティネット型の住宅手当を対応させたマークステファンなどの論旨を日本に応用すべく、労働市場の変容をふくめた論点の深化と外国研究者との交流を意図していた。 前者については、高齢者住宅財団の発行する『いい住まい・いいシニアライフ』に「居住水準を保障する住宅手当(スウェーデン)」(vol.109,2012年7月)、「居住水準を保障する住宅手当(フランス)」(vol.110,2012年9月)、「岐路にたつ所得補塡としての住宅手当(イギリス)」(vol.111,2012年11月)、「住宅手当・支出増大の要因はなにか(イギリス)」(vol.113,2013年3月)、「周辺としての若者、一人親世帯、単身高齢者」(vol.114,2013年5月)を連載中である。 この連載の主旨説明は、「国の制度としての住宅手当の不在は、経済成長、終身雇用・年功序列の賃金体系、社宅等に支えられながら、最終的には持家取得に至る、という日本型雇用システムと相関していた。しかしながら1990年代後半からの失業率の上昇、非正規労働の拡大は、日本型雇用システムを不安定化させ、住宅手当の導入が検討されている」というもので、国際比較の観点から、日本の状況を検討している。 後者(外国研究者との交流)については、フランスからFrederique PIEUCHOT氏を2012年7月に招聘し、住宅手当と社会住宅の実態について、日仏の比較について研究会を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果により、国際比較の観点から日本の状況にアプローチした『いい住まい・いいシニアライフ』の論考は、それなりの手応えがあった。 海外研究者との交流、情報の交換については、フランスの研究者を招聘したことで、新たな知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
日本では、民間借家への介入(居住水準、家賃へのコントロール、社会住宅とのバランスなど)が不十分なまま、終身雇用、年功賃金に依拠した男性稼ぎ手と、それを補完する家族(女性の専業主婦化)に対して、企業福祉の一環としての社宅、そして持家が普及していった。こうした「中軸」のあり方は、企業主義社会に参入できない状況のもとで借家住まいを余儀なくされている「周辺」の人々を包摂できない状況となっている。 2012年度の「研究の成果」を踏まえ、こうした問題をさらに検討していきたい
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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Research Products
(4 results)