2012 Fiscal Year Research-status Report
マルチターン飛行時間型質量分析計によるオンサイト歯周病態解析
Project/Area Number |
24619002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊田 岐聡 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80283828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70239490)
馬場 健史 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10432444)
新間 秀一 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, 研究員 (30515896)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メタボロミクス / 歯周病 / マルチターン飛行時間型質量分析計 / オンサイトマススペクトロメトリー |
Research Abstract |
[1] 歯肉溝滲出液中の代謝物を網羅的に解析 ・歯肉溝滲出液中の代謝物を網羅的に解析するための手法の確立の準備として,まずは入手が容易で安全なマウスの血清を用いて,代謝物の抽出・濃縮・誘導体化ならびにGC/MSでの測定条件などの検討を行った.神戸大のグループなどが行なっている血液中の代謝物の分析で行なっている前処理法をもとに処理し,大阪大学で開発した小型マルチターン飛行時間型質量分析計を用いたGC/MS で測定を行った.得られた結果の再現性が悪く,定量的な議論が困難であったため,様々な検討を行ったところ,前処理中の試料の温度管理が重要であることが分かり,改善を行った.また,質量分析計の方でも感度低下がみられ,イオン源構造の改良と洗浄方法の見直しを行った. ・歯肉溝滲出液の測定を開始した.健常者の歯肉溝滲出液は微量しか採取できないため,どの程度の代謝物のピークが得られるのかの評価が困難であると判断し,程度の異なる3人の歯周病患者の歯肉溝滲出液を採取し,血清と同じ前処理法で処理して,測定を行ない始めたところである.年末からGCに必要なHeガスの入手が困難になり,GC/MS測定に支障がでてきているため,水素ガスをキャリアにするなどの系への移行の検討を始めている. [2] 小型マルチターン飛行時間型質量分析計用の大気圧イオン源の開発 歯肉溝滲出液中の不溶成分である脂質の分析が歯周病の診断に有効である可能性があるとのことで,これらの分析にはESIでの測定が好ましいため,これまでに開発してきていた小型マルチターン飛行時間型質量分析計用の小型大気圧イオン源のさらなる小型・高感度化に関する研究を併行して進めた.イオン源で生成したイオンをイオントラップで蓄積し,マルチターン飛行時間型質量分析計に排出する系の小型化の検討と試作・評価を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マルチターン飛行時間型質量分析計を用いたGC/MS で測定で,これまでは見られなかった感度低下が起こり,その原因解明と解決に時間を要した.結果的にはイオン源の汚れが原因で,イオン源構造の見直しと洗浄方法の見直しで解決した.また,Heガスの入手が困難になり,GCを用いた評価に支障が出ている.こちらは水素ガスへの移行などを進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に引き続き,歯周病患者ならびに健常者の歯肉溝滲出液中の代謝物の測定を行い,歯周病のマーカーとなる代謝物を特定し,診断方法を確立する.メタボロミクスの手法にのっとり,多変量解析などのデータ解析を行い,歯周病に特異的なマーカーを特定する.さらにさまざまな程度の病態の患者についても解析し,歯周病の進行程度の違いを識別できるか を検討する. さらに,チェアサイドでの分析のためのサンプリング/前処理/ソフトウェアの検討を行う.チェアサイドでの分析では,質量分析の専門家ではない素人でも簡便に測定できることが必要であるため,マルチターン飛行時間型質量分析計の高分解能を活かして,前処理/精製/ガスクロマトグラフィーの過程を大幅に簡略化することを目指す.また,前処理とともに,測定に時間を要するガスクロマトグラフィーも,高い質量分解能を活かせば.完全にクロマトグラム上で分離している必要がないため,極力短いカラムを用いて保持時間を短くするなどの検討をし,前処理も含め患者の診察時間内である20~30分程度で分析を終えることを目指す.また,チェアサイドでの分析では,質量分析の専門家ではない歯科医師などが,試料をセットすれば,複雑な設 定など無しに,自動的に解析をするようなシステムを構築する必要がある.データ解析部も含め歯周病診断に適したシステムの構築を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月に国際会議への参加を考えていたが,校務の関係で出張が出来なかったため,次年度に使用する予定の研究費が生じた. Heガスの入手が困難になっている状況から,水素ガスをGCのキャリアに用いる系への移行を検討しなくてはならないため,当該研究費と次年度の研究費を合わせて,水素発生器の購入を検討している. それ以外は,GC/MS測定用の消耗品や薬品の購入と,国内外の学会への出張旅費にあてることを計画している.
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Research Products
(1 results)