2013 Fiscal Year Research-status Report
マルチターン飛行時間型質量分析計によるオンサイト歯周病態解析
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24619002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊田 岐聡 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80283828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70239490)
馬場 健史 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10432444)
新間 秀一 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, 研究員 (30515896)
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Keywords | メタボロミクス / 歯周病 / マルチターン飛行時間型質量分析計 / オンサイトマススペクトロ メトリー |
Research Abstract |
[1] 歯肉溝滲出液中の代謝物を網羅的に解析 歯周病患者4名の歯周病の程度のひどい歯と比較的健康な歯,そして健常者ボランティア30名の歯肉溝滲出液中の代謝物を,昨年度マウスの血清を用いて構築した手法を用いて網羅的に解析した.代謝物の抽出・濃縮・誘導体化は,神戸大のグループなどが行なっている血液中の代謝物の分析で行なっている前処理法をそのまま適用し,大阪大学で開発した小型マルチターン飛行時間型質量分析計を用いたGC/MS で測定を行った.その結果,歯周病に特異的な代謝物が複数みられ,得られた結果を主成分解析したところ,健常者と歯周病患者を明らかにグループ分けできることが分かった.歯周病患者のデータが4人分と少ないため,歯周病の程度を区別できるかなどは現時点では判断できない.現在,できるだけ多くの歯周病患者のサンプルを集めるべく,努力しているところである. [2] チェアサイドでの分析のためのサンプリング/前処理/ソフトウェアの検討 これまで歯肉溝滲出液の採取はガラスキャピラリーで採取していたが,採取が容易ではなく,特に歯肉溝滲出液が少ない健康な歯からの採取は非常に困難であった.そこで,採取が容易なペリオペーパーから抽出して分析が可能かどうかを調べた.ガラスキャピラリーは2uL採取できるが,ペリオペーパーは1枚当たり0.2uLしかとれず,また代謝物をうまく抽出できるかどうかという課題があった.まずはマウスの血清で評価したところ得られたクロマトグラムに大差はなかったため,実際にガラスキャピラリーと同時に歯肉溝滲出液をサンプリングし,分析を行ってみた.その結果,0.2uL以下という微量でありながら,十分なS/Nで代謝物を検出することができることが分かり,今後はペリオペーパーでの採取にすることに決定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯周病のマーカーとなる代謝物を見つけることができ,代謝物の網羅分析により歯周病の診断への見通しがたった.また簡便なサンプリング法についても検討をし,個々の歯からの歯肉溝滲出液だけで分析することが十分に可能であることを示せた. おおむね当初計画通りに計画が進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,歯周病患者の歯肉溝滲出液を集めて分析し,歯周病の程度を診断できるかどうかなどのデータの蓄積を行なう.また,多変量解析などのデータ解析手法についても検討し,より正確に歯周病の程度を判定できるような手法を構築する. さらに,チェアサイドでの分析のためのサンプリング/前処理/ソフトウェアの検討を行う.チェアサイドでの分析では,質量分析の専門家ではない素人でも簡便に測定できることが必要であるため,マルチターン飛行時間型質量分析計の高分解能を活かして,前処理/ 精製/ガスクロマトグラフィーの過程を大幅に簡略化することを目指す.最終的には,前処理も含め患者の診察時間内である20~30分程度で分析を終えることを目指す. また,チェアサイドで の分析では,質量分析の専門家ではない歯科医師などが,試料をセットすれば,複雑な設定など無しに,自動的に解析をするようなシステムを構築する必要がある.データ解析部も含め歯周病診断に適したシステムの構築を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月に国際会議への参加と発表を考えていたが,校務の関係で出張が出来なかったため,次年度に使用する予定の研究費が生じた, 次年度は3年に1度の国際会議が開催されるため,その出張旅費にあてるをこと計画している.また,自動化のためのソフトウェア開発を促進するための経費にもあてることを計画している.
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Research Products
(2 results)