2012 Fiscal Year Research-status Report
カビ代謝ペプチドの解析のためのフラグメンテーション理論の新展開
Project/Area Number |
24619003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
竹内 孝江 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (80201606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 孝仁 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (60144135)
紅 朋浩 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00222513)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フラグメンテーション理論 / リン酸化ペプチド / On-Resonance CID / ab initio DFT計算 / RRKM計算 / フラグメント分子軌道計算 / ポテンシャルエネルギー超曲面 / 質量分析 |
Research Abstract |
新たに合成されたポリペプチドが機能を発揮するためには翻訳後修飾を受けることが多い。カビ代謝ペプチドにおいても、翻訳後修飾ペプチドとしてリン酸化ペプチドは重要である。本研究では、リン酸化ペプチドのフラグメンテーション機構を理論的に解明し、汎用のフラグメンテーション理論を確立する。 平成24年度は、モデル化合物としてチロシンをリン酸化したテトラペプチドであるpYYR(H+)Kのフラグメンテーション反応の機構を第一原理密度汎関数理論計算により明らかにした。pYYR(H+)KからのHPO3脱離の障壁エネルギーは197.7 kJ/molであった。H3PO4脱離の障壁エネルギーはTS3の41.5 kJ/molに近いと予想された。一方、b3イオン生成の過程におけるエネルギー障壁は、b3(5員環構造)について155.4 kJ/mol、b3(リニア構造)について371.6 kJ/molであった。 以上のエネルギー計算の結果から、pYYR(H+)K からのH3PO4脱離反応、HPO3脱離反応およびb3(5員環構造)生成反応は低いエネルギーでおこる反応であり、b3(リニア構造)生成反応は高いエネルギーで起こる反応であることがわかった。Off-Resonance CIDにおいては、低いエネルギーで起こるH3PO4脱離、HPO3脱離およびb3(5員環構造)生成が観測され、On-Resonance CIDでは、より高いエネルギーを必要とするb3(リニア構造)生成が観測されたと考えられた。RRKM理論による反応速度の計算結果もこのことを支持するものであった。 より大きなサイズのTRDIYETD-pY-YRKのプロトン付加分子に拡張するため、フラグメント分子軌道(FMO)法の検討を行った。FMO計算結果より分子サイズに対して計算機時間は通常のab initio法より緩やかに増加するのがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究の目的にある、フラグメンテーション理論の構築において、従来法で課題となっている、翻訳後修飾されたペプチドを理論的に解明できた。さらに、大きなサイズに適用可能なフラグメント分子軌道法を応用した計算を可能とした。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ポテンシャルエネルギー超曲面 における反応始状態、 中間体、遷移状態、生成物状 態の平衡構造の振動解析を行 い、統計理論である、RRKM-QET 理 論 を 用 い て 可能なフラグメンテーション反応の速度定数を計算し、フラグメンテーション機構を解明する。フラグメンテーションに有効な指数を、多変量解析により抽出する。 2. Aspergillus nidulans の発現誘導株を作成し、培養、その代謝物を質量分析によって解明する。 3. RRKM-QET によって計算した各フラグメンテーション反応の速度定数から、フラグメンテー ション機構を解析し、カビ代謝ペプチドを解析する際に利用できるフラグメンテーションの指 標を導出する。実験条件で起こるフラグメンテーションを予測する理論を構築する。 4. Aspergillus nidulans のセスキテルペン合成酵素に関連すると推定された遺伝子に相当するペプチドのモデル化合物の CID MS/MS 測定を行い、構築したフラグメンテ―ション理論を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①該研究費が生じた状況 当初、予定していた培養容器および培養試薬(共に消耗品)の費用を確保していたが、学内経費(共生科学研究センター経費(校費))を獲得することができ、予定していた消耗品経費を使用しなかった。 ②平成25年度請求する研究費と合せた使用計画 ポテンシャルエネルギー超曲面 における反応始状態、 中間体、遷移状態、生成物状 態の平衡構造の振動解析を行 い、統計理論である、RRKM-QET 理 論 を 用 い て 可能なフラグメンテーション反応の速度定数を計算し、多変量解析ソフトウェアを開発して、フラグメンテーションに有効な指数を抽出する。これには当初予定していなかった多変量解析ソフトウェア"Signpost MS"が必要となったのでその購入にあてる。
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[Journal Article] Structural, photophysical, and mesomorphic properties of luminescent platinum(II)-salen schiff base complexes2012
Author(s)
Yuriko Abe, Yuko Takagi, Miyuki Nakamura, Takae Takeuchi, Tomoaki Tanase, Miho Yokokawa, Hidetomo Mukai, Takashi Megumi, Kazuchika Ohta
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Journal Title
Inorganica Chimica Acta
Volume: 392
Pages: 254-260
DOI
Peer Reviewed
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