2013 Fiscal Year Research-status Report
ピエゾ振動ナノCIによる低極性分子標的LiveSingle-cellMS法の開発
Project/Area Number |
24619004
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
津山 尚宏 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10335747)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
升島 努 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, その他 (10136054)
水野 初 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (30457288)
|
Keywords | 質量分析 / メタボロミクス / ナノスプレー / 化学イオン化 / 一細胞分析 |
Research Abstract |
ナノスプレーを用いて単一細胞の内容物を吸い上げ質量分析を行うLive Single-cell MS法は、現象と相関した分子動態の解析に最適である。これまでに培養細胞や植物細胞の内容物解析、投与した薬物の代謝解析に適用してきた。ナノエレクトロスプレーイオン化本法の問題点である、低極性物質の高感度検出を行うため、大気圧化学イオン化をナノスプレーイオン化へ適用を試みた。ナノスプレーイオン化では、スプレーに直接印加した電圧により溶媒が荷電した霧となるが、大気圧化学イオン化では放電電極を用いるため、スプレーチップからの霧化はピエゾ素子を用いた微小振動による霧化を用いた。ピエゾ素子による振動ではナノスプレーチップ強度が問題となるが、先端径やチップ形状を検討したところ、口径10μmで長細くのびたチップが数十秒の振動にも耐え、継続してシグナルを検出できた。シグナルは親水性分子に加え、より疎水性の高い分子ピークも検出された。解析中に問題点として、試料由来ではない分子ピークの大きさが問題となった。放電によるイオン化では、空気中の窒素分子が放電によりイオン化を受け、このイオンを介してさらに試料分子がイオン化される。このため測定室内に存在する環境由来分子のイオンの検出が顕著であった。室内イオンの混入を防止するため、ナノスプレー周囲をガラス管で覆うデバイスを作成し、活性炭を通じた清浄な窒素を後方より導入した。この清浄窒素鞘中でスプレーからの帯電イオンを直接質量分析計へ取り込ませたところ、環境シグナルが減少した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一細胞分析では細胞内容物が少ないため、環境中のイオンを抑制することが感度向上に重要である。従来のナノスプレーイオン化に比べ放電による化学イオン化では環境イオンが大きかったことから、当初の計画になかった清浄環境を作り出すデバイスを新たに作成し、検討しているためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
清浄環境でイオン化を行うことができるナノCIデバイスを新たに作成したので、これを用いて一細胞質量分析を試みる。動物細胞に投与した極性の低い薬物の代謝追跡や芳香性の植物などを用い、通常のナノESIと比較する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に所属が変わり研究整備に数か月を要したため本研究費の使用が抑制された。本年度は継続して課題遂行にあたり当初の予定を上回る使用であったが、初年度の残額を消化するに至らず残額が生じた。 当初の研究計画を予定通り遂行することに加え、計画遂行中に生じた新たな問題点を解決するための試薬や器具の購入に使用する予定である。
|