2012 Fiscal Year Research-status Report
精密コロナ放電と質量分析を用いたバイオモニタリングシステムの構築のための基礎研究
Project/Area Number |
24619005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
関本 奏子 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 助教 (40583399)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コロナ放電 / 質量分析 / 大気反応イオン |
Research Abstract |
生体分子のその場分析技術の開発はオミクス計測科学分野の重要な課題であるが,未知試料の同定に及ぶ手法の確立には至っていない.本研究では,様々な気相酸性度を持つ負の大気反応イオンの制御生成が可能な「精密コロナ放電」と質量分析を結合し,種々の有機化合物を各々の物性に応じて選択的にその場分析する“バイオモニタリングシステム”の構築を目的とし,平成24年度は以下の研究項目を遂行した. 1. 大気圧下での精密コロナ放電による反応イオンの発生制御と質量分析計の接続 2. 大気反応イオンと有機化合物の選択的反応に関する基礎研究 1では,平板電極上のオリフィスに対するニードル電極の角度およびコロナ直流電圧を可変とする「精密コロナ放電イオン源」を構築し,質量分析計に実装した.本装置では,大気成分(N2, O2, H2Oなど)をそのまま利用して,ニードル角度とコロナ電圧による電子の運動エネルギーの精密調整のみで,様々な気相酸性度を持つ負の大気反応イオンR-(NO3-, NO2-, HCO3-, O2- など)の生成制御を可能にした.さらに,マイクロセラミックヒーターを放電場近傍に設置することによって,アミノ酸等の低分子量の固体有機化合物を気化させ,大気反応イオンと試料分子の反応により生成した試料イオン(付加体イオン [M + R]-,脱プロトン化分子 [M - H]-)を質量分析することに成功した.2では,衝突誘起解離(ollision-induced dissociation; CID)法を用いて,種々の有機化合物Mと大気反応イオンR- の付加体イオン [M + R]- のフラグメントイオンを観測した. その結果,R- と [M - H]- のプロトン親和力によって説明される規則的なフラグメンテーション過程が見出され,未知試料の分子量の決定に有用であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究実施計画」に従い,平成24年度に遂行すべき研究項目は達成された.すなわち,精密コロナ放電イオン源を質量分析計に実装し,種々の有機物と負の大気反応イオンの付加体イオンのフラグメンテーション過程を調査したところ,未知試料の分子量の決定に有用な情報を得ることができた.さらに,特定の有機物と大気反応イオンとの間で,水素脱離による酸化反応が観測された.どのような条件の場合に本反応が起こるのか,また,大気中で進行する他の特異的な反応を調査することが,今後の新たな研究の課題となる.
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した「研究実施計画」に従い,今度は以下の研究を推進していく. 1. 大気反応イオンと生体分子の選択的反応に関する基礎研究 2. “バイオモニタリングシステム”の実用化に向けた評価研究 1では平成24年度に引き続き,CID法を用いて,種々の有機物 M と大気反応イオン R- の付加体イオン [M + R]- および脱プロトン化分子 [M - H]- のフラグメンテーション過程を調査し,未知物質を含むマススペクトルの解析に有用な基礎データを取得する.また,平成24年度に見出された,有機物と大気反応イオンの特異的な反応過程(水素原子脱離による酸化反応など)を追究する.2では,精密コロナ放電イオン化質量分析計の“バイオモニタリングシステム”の実用化に向けた評価を行うために,様々な環境に置かれた(昼夜間,伐採時など)植物の葉の表面に分泌される生体分子のその場分析を試みる.具体的には,イオン源パラメーターのニードル角度とコロナ電圧を変化させながら,各種大気反応イオンと葉の表面から揮発する有機物を反応させ,随時生成する有機物イオンを質量分析していく.得られたマススペクトルを本研究で得られた基礎データを基に解析し,植物由来の生体分子を同定する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(8 results)