2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24619006
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大坂 一生 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 講師 (90550244)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リン酸化ペプチド / イオン収量 / ESI / 疎水性度 / イオン化効率 / 気化流速 / 分配係数 / 多価イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
翻訳後修飾タンパク質の検出とその構造解析の研究は,医学や薬学の分野において大変重要である.翻訳後修飾タンパク質の一つのリン酸化タンパク質は,様々な疾患のマーカーとなるものが多い.タンパク質は分離・精製後に酵素消化を行い,消化生成物の質量分析をすることで同定される.消化によって生成されたペプチドはイオン化効率が一律でないために,検出できない場合がある.検出感度を向上させるための根本的な解決策は報告されていない.本研究課題では,ESI-MSによるリン酸化プロテオームのために,アミノ酸やペプチドの物性とイオン収量の関係を系統的かつ定量的に評価した. 平成25年度の研究によって,添加物により得られるペプチドの多価イオン分布が変化することがわかった.平成26年度は,ペプチドやタンパク質の多価イオン生成に対する添加物の影響の評価を行った.試料溶液への酢酸の添加量を増加させることで,そのpH変化に伴いタンパク質は変性するために,タンパク質表面の電荷状態が変化する.その結果,得られる多価イオン分布も変化する.酢酸の添加によってタンパク質の高い価数の正イオン,酢酸アンモニウムの添加によってタンパク質の低い価数の正イオンが生成された.添加物による多価イオン分布の変化は,低分子の直鎖ペプチドにおいても同様の結果が得られた.pH3の酢酸-酢酸アンモニウムバッファーを用いた場合は,酸性条件下であるにも関わらず酢酸アンモニウム添加時と同様に高い価数の正イオンが得られた.この結果は,溶液のpHによる試料分子の変性だけでなく,ESIで生成された帯電液滴中におけるペプチドと添加物の分子の反応も,多価イオン分布変化に関係することを示唆した.
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Research Products
(4 results)