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2012 Fiscal Year Research-status Report

自己組織性超分子の溶液質量分析を中心としたオミクス解析科学

Research Project

Project/Area Number 24619008
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionTokushima Bunri University

Principal Investigator

山口 健太郎  徳島文理大学, 薬学部, 教授 (50159208)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 瀬高 渉  徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (60321775)
小原 一朗(小原一朗)  徳島文理大学, 薬学部, 助教 (60581775)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords質量分析 / ジャイロコマ / 複屈折 / 結晶構造
Research Abstract

本年度の実施計画に従い、実験準備が整った分子ジャイロコマの研究を、溶液挙動を含む物性解析より開始した。初めにキシレンを回転子とする分子ジャイロコマを合成し構造と物性を検討した。この際、ジャイロコマのかご形フレーム骨格の大きさを調節し、かごサイズを変化させた場合の合成収率の変化を調べ、サイズが大きくなるとかご骨格がつぶれてしまい、炭素鎖18のかごでは、うまくキシレン回転子が回らなくなることがわかったこれに対してC14鎖の分子は球状で回転子に対して最小限の回転空間を形成する。尚、この化合物の質量分析による溶液動態解析には未だ至っていない。
次に、チオフェン環を回転子とする分子ジャイロコマの合成に着手した。回転子を双極子モーメントを有するチオフェンに変えることにより、分子全体の静電的相互作用の変化に興味が持たれる。合成に関しては、かご骨格のサイズの増大に伴い明らかに収率が低下した。これは、前駆体の炭素鎖が長くなるにつれ、同じケイ素上の側鎖同士が反応し易くなることを示し、ビスシリルチオフェン骨格の対称性を反映しやすい生成物が優先的に生成することがわかる。さらに、温度に依存した結晶内でのチオフェン環の配向について検討したところ、低温では隣接するチオフェン同士の双極子相互作用により、チオフェンの配向の秩序が整列した構造を示すのに対して、高温では熱により配向秩序が乱れた構造に変化することを確認した。このことは、溶液動態の温度依存性も示唆しており温度可変溶液質量分析の結果が期待される。さらに、チオフェン環を回転子とするジャイロコマにおいても結晶内で回転子の配向が乱れて複屈折が変化することも確認された。
反応追跡装置の開発に関しては、現時点でリアクトIR装置との併用により、時間分解マススペクトルの取得に成功している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の研究計画に沿って種々の分子ジャイロコマの合成研究が進展し、分析対象が蓄積しつつある。また、実施計画のもう一つの主要テーマであるコールドスプレー反応追跡装置に関しては、ペリスタルティックポンプを用いた試料導入システムと、これをモニターするリアクトIR装置を結合することにより、より進んだ溶液動態解析システムの構築が進行している。本システムによる具体的観測対象として可溶性の配位化合物を選択し、追跡実験に着手するに至っている。複数の窒素をもつ有機配位子を用いた場合、金属の配位環境等により種々の集合体を与えることが期待され、また、時々刻々と配位形態が変化すると考えられる。この様な変化をCSI-MSにより迅速かつ精密に解析することができる。具体的には複数の溶媒混合比を連続的に変えて、これによるプロダクトの生成および構造変化を時間分解CSI-MSで追跡することができた。
当初実施計画にある配位結合により構築する分子のライブラリーソーティングに向けて順調に実験が進んでいると自己評価している。

Strategy for Future Research Activity

分子ジャイロコマの研究分野を担当していた研究分担者が他部局へ転出し、分担者を外れたため、既に合成が済んでいるジャイロコマについての溶液動態解析等の実験の遅延が懸念されるが、連絡を取り合い推進する予定である。
新たに分担者となった川幡正俊博士は超分子ポリマーの合成および構造解析に精通しており、当該研究課題である溶液中での集合体の動態解析の素材として最適である。このため平成25年度は自己組織性超分子ポリマーの構築と溶液動態解析を本テーマに加え、当初計画した自己組織性分子の質量分析によるオミクス解析科学を展開する計画である。
さらに、本年度、基礎研究が進展した反応追跡型の溶液質量分析システム開発を発展させてFTICRMSの優れた分解能と感度を生かした時間分解マススペクトルの測定装置開発に向けた取り組みを実施しする。また、この新規解析システムによる溶液動態解析結果を検証するため、溶液から単結晶に導き、X線解析により立体構造を解析する.またこの結晶解析を活用する溶液動態変化の観測手順の確立を目指す。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度研究費は主に、新たに展開を計画している自己組織性超分子であるスピロボレートシクロファン類の合成に要する経費、および放射光を含む強力X線源を用いる単結晶X線構造解析の費用に充てる予定である。また時間分解マススペクトル測定に伴い発生する諸経費にも充当する予定である。これらは、ガラス器具類、各種溶媒等試薬類および小規模実験器具類、およびデータ処理等の情報機器関連の経費等である。さらに新しい溶液質量分析システム開発に必要な電子部品等や、単結晶X線構造解析に用いる試料調整用器具、および関連する用品類を含む。また既に現段階でまとめられた研究成果発表、および新たに展開する調査・情報収集のための国際学会を含む学会出張費および論文作成・出版経費等も含まれる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] A Molecular Balloon: Expansion of a Molecular Gyrotop Cage Due to Rotation of the Phenylene Rotor2012

    • Author(s)
      Setaka, W.; Yamaguchi, K.
    • Journal Title

      J. Am. Chem. Soc.

      Volume: 134(30) Pages: 12458-12461

    • DOI

      10.1021/ja305822e

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] CSI-MS Measurement of Lanthanide-Series Ionic Probes for Ionic Probe Attachment Ionization2012

    • Author(s)
      Ito, F.; Nakamura, T.; Yamaguchi, K.
    • Journal Title

      J. Mass. Spectrom. Soc. Jpn.,

      Volume: 60(2) Pages: 33-36

    • DOI

      10.5702/massspec.12-35

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 多成分有機架橋配位子と金属の連続的混合による配位化合物構築とコールドスプレーイオン化質量分析法2013

    • Author(s)
      小原一朗,伊藤文博,山口健太郎
    • Organizer
      日本薬学会第133年会
    • Place of Presentation
      横浜
    • Year and Date
      20130327-20130330
  • [Presentation] 水溶性スピロボラートシクロファンの合成研究2013

    • Author(s)
      川幡正俊,檀上博史,山口健太郎
    • Organizer
      日本薬学会第133年会
    • Place of Presentation
      横浜
    • Year and Date
      20130327-20130330

URL: 

Published: 2014-07-24  

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