2012 Fiscal Year Research-status Report
アミン性代謝物へのフォーカシングによる新測定技術の開発とメタボロミクスへの応用
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24619009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山口 政俊 福岡大学, 薬学部, 教授 (50117280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟木 堅一郎 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (70341451)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フルオラス分離技術 / 固相抽出 / アミノ酸 / メタボロミクス |
Research Abstract |
本研究では,メタボロミクスの対象となる化合物をアミン性代謝物(アミノ酸を含む)にフォーカシングし,それらの新規測定技術の開発を行うとともに,フォーカシングしたアミン性代謝物のみによるメタボロミクス解析を試みる。その実現のため、本研究ではフルオラス(パーフルオロアルキル鎖同士がもつ特異な親和性)分離技術を利用し、パーフルオロアルキル基を導入した測定対象アミン類を、パーフルオロアルキル基含有シリカゲル固相カラムによって選択的に抽出する方法を開発した。 本年度は、測定対象をアミノ酸にフォーカシングし、還元的アミノ化反応により、アミノ酸の一級アミノ基にパーフルオロアルキル基を2つ導入した。本誘導体化反応は、試薬濃度、反応温度、反応時間などを詳細に検討し、最も効率良く誘導体を生成できる条件を構築した。本法によって得られた誘導体は高いフルオラス性を示し、当初目的のとおり、市販のパーフルオロアルキル基含有シリカゲル固相カラムによって極めて選択的に抽出することが可能であった。また、本法によって極めて効率的・選択的に抽出された誘導体は、LCによるカラム分離を必要とせず、直接質量分析計に導入して測定することが可能であり、ハイスループット化にも対応することができた。さらに、標準品試料を利用して本法のバリデーション試験を行ったところ、十分な正確性、精度及び感度をもってアミノ酸類の測定が可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載のとおり、平成24年度は、アミノ酸を対象にし、還元的アミノ化反応によってそのパーフルオロアルキル化に成功した。また、得られた誘導体は、パーフルオロアルキル基含有シリカゲル固相カラムに強力に保持されることにより、選択的かつ効率的に精製・抽出させることが可能であった。本誘導体化反応条件並びパーフルオロアルキル基含有シリカゲル固相カラムによる抽出条件を詳細に検討して最適化し、標準品試料のみながら、バリデーションの結果についても極めて良好であることから、本年度における目標は十分に達成できたものと考える。 以上のとおり、本研究はおおむね順調に進展しており、次年度についても特段問題なく進展させることができるものであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、実試料(ヒト血液や尿試料)を対象とした研究を行うこととする。具体的には、本法による実試料中アミノ酸類の測定を試み、それについてのバリデーション試験を行う。とくにMS分析を行う際、問題となるマトリックス効果の有無については、詳細に検討を行う。すなわち、質量分析におけるマトリックス効果の原因物質の一つとしてしばしば挙げられるリン脂質などを同時に測定し、本精製・抽出法によるそれらの除去効率などを求め、本年度内に構築した方法に問題があるようであったら、その時点で条件を修正する。以上の実試料分析に対する基礎的な検討を行ってその基盤を整備した後は、本法によるフォーカシング・メタボロミクス解析などへと適用し、本研究の更なる発展を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、標準試料を用いた検討を中心に行なっていたため、研究費の用途(主に誘導体化試薬)も限られていた。そのため、本年度の研究費に繰越金が発生してしまったが、次年度からは、本年度内に構築した方法をもとに実試料測定へと応用していく予定であり、その際、使用する研究費は、本年度に使用した費用を大幅に上回るものと予想される。具体的な用途としては、誘導体化用の試薬、標準品類、固相抽出用器具、認証標準物質、質量分析装置用消耗品などであり、これらに研究費の大半を使用する予定である。その他として、学会や研究会参加のための旅費、論文投稿の際の英文校閲費や投稿料などにも使用する予定である。研究費の内訳に変動が生じた場合は、消耗品費で調整する。次年度の研究費についても90%を超える費用はない。
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Research Products
(16 results)