2012 Fiscal Year Research-status Report
生体マトリックス中タンパク質の高精度、高感度定量法の開発
Project/Area Number |
24619012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
絹見 朋也 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (90293125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 芳浩 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究グループ長 (10291080)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 質量分析 / タンパク質定量 / 同位体希釈 |
Research Abstract |
本研究は、血清中のタンパク質をLC-MS/MSにより精確に測定する方法の開発を目的としている。定量対象のタンパク質に対して質量差を生じるアミノ酸点変異を導入した組換体タンパク質を調製し内標準として血清に添加する。天然型と内標準タンパク質を血清から精製しプロテアーゼ消化によりペプチドを得て、変異による質量差を利用して同位体希釈法と同様にLC-MS/MSによる定量を行うものである。 今年度、血清中のC-反応性タンパク質(CRP)定量のための内標準となる点変異を導入したCRPの調製、および血清からCRPの精製およびプロテアーゼ消化とLC-MS/MSの測定条件を検討した。 1.変異導入CRPは、ヒスチジンタグまたはシャペロンとの融合タンパク質として大腸菌での低温発現系を検討した。シャペロンとの融合タンパク質は可溶性タンパク質として得られた。一方、ヒスチジンタグのみを付したCRPは封入体として得られたため、リフォールディング法を検討して各種クロマトグラフィー精製と段階透析法により可溶化されたものを得ることができた。 2.変異導入CRPのトリプシン消化物をLC-MS/MSにより解析し、変異を導入したアミノ酸を含むペプチドが十分な感度で測定できることを確認した。また、固定化抗体による血清中のCRPを効率よく回収できる方法を確立し、プロテアーゼ消化ののちにLC-MS/MSによりCRP由来の目的のペプチドを検出することができた。 これにより、血清中CRPおよび血清に添加した内標準CRPに由来するペプチドの相対比測定が可能となり、LC-MS/MSによる血清中CRPの定量が行えるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度達成した点は、内標準として用いるタンパク質の配列設計と発現調製、および天然型タンパク質と内標準タンパク質のプロテアーゼ消化により点変異に基づく質量差をもつペプチドのペアが得られること、の2つである。ヒスチジンタグを付したCRPは封入体として得られ、段階透析により可溶化可能であった。一方、シャペロンとの融合タンパク質は可溶性タンパク質として得られ、プロテアーゼ消化後のLC-MS/MSの測定条件検討に使用した。天然由来および変異導入のペプチドはLC-MS/MSでの保持時間がほぼ等しく、安定同位体標識と同様の取扱が可能であった。以上より、定量分析に必要な技術を整えることができ、進捗はおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
点変異を導入したCRPの調製について、段階透析により可溶化が可能であった。しかし、収量は低くリフォールディングの効率が一定しないという問題があった。今後、可溶性タンパク質として得られる融合タンパク質としての発現条件、タグの加水分解除去条件等を精査し、安定的に内標準タンパク質を得ることを目指す。これにより、LC-MS/MS等の測定条件を詳細に検討する。 また、シスタチンCなど他の血清タンパク質の定量へ拡張し、精密な測定法としての一般性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
変異導入したCRPの発現調製、精製のためのクロマトグラフィーカラム、およびアフィニティー精製に必要な抗体、固定化抗体担体、LC-MS/MSの各種消耗品、消耗部品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)