2015 Fiscal Year Annual Research Report
植物の茎の重力屈性機構の解明:屈性制御を司る鍵物質の探索と組織張力の観点から
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24620008
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
宮本 健助 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (10209942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 純一 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (40109872)
長谷川 宏司 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 名誉教授 (70094167)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 重力形態形成 / 植物生理活性物質 / オーキシン / オーキシン極性移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24年度~平成26年度の実験成果に基づき、擬似微小重力環境作成装置である3次元クリノスタットを用いて、植物の種々の成長・発達過程に対する重力の影響、ならびにその制御に重要なオーキシン極性移動を解析した研究成果を確認するとともに、その成果をまとめ研究発表を行った。重力刺激に応答して成長を制御する物質の探索に関する研究がクリノスタットの不具合による再現実験の遅れや化学物質同定実験の遅れなどの理由から、一年間の補助事業期間延長を行った。主な成果の詳細は、以下の通りである。 黄化Alaskaエンドウ芽生えを横たえるとその上胚軸は重力屈性を示し、重力刺激約10分後から反重力方向へと屈曲していった。一方、重力応答突然変異体ageotropumエンドウ芽生えでは、水平に横たえても上胚軸の屈曲および上胚軸の成長速度の変化は認められなかった。重力刺激に応答して量的・質的変動を示す物質を探索したところ、黄化アラスカエンドウ芽生えを水平に横たえると増量するが、黄化ageotropumエンドウでは量的変化を示さない化合物の存在が示された。この化合物を垂直に保った黄化アラスカエンドウ上胚軸の片側に投与すると上胚軸は投与した側へ屈曲し、投与側の上胚軸の伸長が抑制されることがわかった。機器分析の結果、黄化アラスカエンドウ芽生えを水平にした場合、この化合物は反重力側上胚軸に重力側上胚軸の約2倍量含まれていた。これらの結果は、黄化エンドウ芽生えの重力屈性に、反重力側上胚軸で増量する生長抑制活性を有する物質の関与を示唆する。化学物質の同定が新規化合物の可能性もあり現在継続中であるが、NMRデータ解析から推定構造を得ることに成功しこの成果発表を準備中である。また、オーキシン極性移動が植物の様々な成長過程に影響することを明らかにした。
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