2014 Fiscal Year Research-status Report
宇宙環境を利用した線虫の寿命と老化速度に及ぼす重力の影響に関する研究
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24620016
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
本田 陽子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90399460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 修二 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (40100127)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宇宙 / 寿命 / 老化 / 重力 / 線虫 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化の速度や寿命は遺伝的な要因とともに環境に応答して決まると考えられている。本研究では微小重力環境が生物の老化過程に与える影響を明らかにするため、線虫を用いて宇宙環境における線虫の寿命を計測するとともに遺伝子発現の変化を解析する。2014年度は2015年春に宇宙実験棟「きぼう」で実験が予定されており、現在継続中の『宇宙環境における線虫の老化研究(Space Aging)』(代表提案者:本田陽子)のための予備実験および国内リハーサル実験を行った。 「きぼう」日本実験棟では野生体と短寿命変異体daf-16 (FOXO転写因子欠損)の2種類の線虫を線虫用液体培地CeMMを使って培養する。地上予備実験では軌道上で線虫を培養する容器、一容器あたりの線虫数、同調培養の方法、産卵抑制剤を加えるタイミングなど詳細な検討を行った。軌道上ではCCDカメラ付きの装置で自動的に録画した動画を地上に伝送し、線虫の動きを観察する。線虫を最大70日、ほぼ動かなくなるまで観察してその動きから老化の速度を計測する。観察装置の作製(JAXAとの共同研究)、線虫の運動量を定量化する新規ソフトウェアの開発等を行った。培養した線虫は凍結して地上に回収する。宇宙で十分な数の線虫を凍らせて、変性しないよう凍結状態で保存し、地上に持ち帰ってから遺伝子の発現、タンパク質の量を調べて、寿命の変化の原因を明らかにする。凍結用の培養バッグの試作、その中での線虫の培養条件の検討、凍結方法、凍結サンプルからのRNA抽出方法などの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宇宙実験は当初本研究の実施期間中に行われる予定であったが、実際は2015年度に延期された。それに伴い予定していた軌道上での線虫の動画データの解析や、地上帰還される予定の凍結サンプルの解析が2015年度に持ち越された。しかしリハーサルや予備実験のために1年間の研究期間を使って充分な検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年4月、宇宙実験現在の「きぼう」日本実験棟において、生命科学分野『宇宙環境における線虫の老化研究(Space Aging)』(代表提案者:本田陽子)の実験が開始された。これまでの経緯は以下の通りである。 1) 打上げ:線虫を入れた容器は、米国スペースエックス社のドラゴン補給船6号機(SpaceX-6)に搭載され、平成27年4月15日に米国ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられ「きぼう」日本実験棟に到着。 2) 実験開始:4月19日に「きぼう」日本実験棟内で、スコット・ケリー宇宙飛行士が線虫の入った容器を装置にセットし、培養実験が開始された。 3) 観察:観察は地上の実験運用管制室からのコントロールにより行われ、線虫の観察が成功。現在培養と観察を行っており、開始から約2か月にわたり続けていく予定。 Space Aging実験では、微小重力環境が生物の老化過程に与える影響を明らかにするため、宇宙環境における線虫の寿命を計測するとともに、遺伝子発現の変化を解析する。それにより宇宙環境に長期間滞在することによる線虫の老化速度と寿命が受ける影響が明らかとなる。2015年度は宇宙実験で得られた動画の解析から宇宙における線虫の寿命を明らかにする。また地上帰還凍結サンプルを用いて遺伝子発現解析等を行う予定である。
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Causes of Carryover |
宇宙実験は当初本研究の実施期間中に行われる予定であったが、実際は2015年度に延期された。それに伴い予定していた軌道上での線虫の動画データの解析や、地上帰還される予定の凍結サンプルの解析が2015年度に持ち越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は宇宙実験で得られた動画の解析から宇宙における線虫の寿命を明らかにする。また地上帰還凍結サンプルを用いて遺伝子発現解析等を行う予定である。そのため宇宙軌道上で撮影された動画から線虫の運動量を定量化するためのソフトウェアのバージョンアップ費用に使用する。さらに地上帰還サンプルの遺伝子発現解析をするための分子生物学実験用試薬やキットを購入する。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Aging in Space2014
Author(s)
Honda Y, Higashibata A, Matsunaga Y, Yonezawa Y, Kawano T, Higashitani A, Kuriyama K, Shimazu T, Tanaka M, Szewczyk N J, Ishioka N, Honda S
Organizer
C. elegans Development, Cell Biology & Gene Expression Meeting in association with The 6th Asia-Pacific C. elegans Meeting
Place of Presentation
Nara
Year and Date
2014-07-15 – 2014-07-19
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