2012 Fiscal Year Research-status Report
生体リズム関連遺伝子を用いたクロノタイプの同定と非薬物治療法の開発
Project/Area Number |
24621003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
山田 尚登 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50166724)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クロノタイプ / 気分障害 / 時計遺伝子 |
Research Abstract |
研究目的は、①気分障害(躁うつ病)患者におけるクロノタイプを、バイオロジカルマーカー及び評価尺度を用いて同定し、クロノタイプと気分症状の関連性を明らかにすること、②また、クロノタイプを人工的に変位させることで、抑うつ症状をより早期に改善し、自殺予防に努める提案を行うための基礎的データを提供する。具体的には、生体の毛根細胞あるいは唾液中の時間遺伝子の発現量からクロノタイプを同定し、高照度光療法とメラトニンアゴニストにより、クロノタイプを変位させ、その際の気分の変化を検討することの2点である。 本年度は、バイオロジカルなクロノタイプ測定法の確立を目指した。人毛根細胞、及び口腔内細胞から得られた時間遺伝子Per3、Nr1d1、Nr1D2の全RNAを抽出した後、cDNAを作成し、リアルタイムPCRにてRNA量の計測し、各時間遺伝子のRNA量からサーカディアンリズムの指標(頂点位相、メサ-、振幅)を安定して同定する測定法の確立を試みた。正常被験者から、2時間間隔で48時間(夜間は除く)、5本ずつ毛根を抜き、また唾液サンプルを2ml回収し、逆転写酵素を用いてcDNAを作成し、リアルタイムPCRを用いて上記各時間遺伝子の各時間のRNA量を定量し、それを元にサーカディアンリズムの各指標(頂点位相、メサ-、振幅)を求めた。症例数が少なく、定量における安定度にかけるため、その点を検討中である。 これが可能となれば、外部環境の影響を受けやすいメラトニンや深部体温などの指標を用いなくても、外部環境の影響を受けにくい正確なサーカディアンリズムの計測法が確立される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在の方法によるサーカディアンリズムの計測法の定量性の安定度にややかけるため。
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Strategy for Future Research Activity |
①バイオロジカルなクロノタイプ測定法の確立:更に、定量性の精度を向上させる。 ②実際の患者への応用:気分障害患者:DSM-IV-TRにて、大うつ病、双極性障害と診断された患者:バイオロジカルクロノタイプの同定:2時間間隔で48時間(夜間は除く)、5本ずつ毛根を抜き、あるいは唾液を採取し、各時間遺伝子の各時間のRNA量を定量し、それを元にサーカディアンリズムの各指標(頂点位相、メサ-、振幅)を求める。 同時に、バイオロジカルクロノタイプの同定:アクチグラフィーを用いて2分間隔、48時間活動量を測定し、それを元にサーカディアンリズムの各指標(頂点位相、メサ-、振幅)を求める。質問紙によるクロノタイプ:Horne-Ostbergの朝方・夕方質問紙、気分の評価:ハミルトンうつ病評価尺度、ヤング躁病評価尺度、VAS 病棟に入院する気分障害患者を、入院時、退院時、及び病相悪化時に、上記の時間遺伝子によるバイオロジカルクロノタイプ、質問紙によるクロノタイプ、気分の評価を行う。これらのデータから、気分とクロノタイプの関連性を検討する。同様に、躁うつを示す双極性障害の患者でも、各病相、正常気分時にクロノタイプを測定し、気分とクロノタイプの関連性を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記計画に必要な試薬、サンプル採取のための物品の購入、及び、学会での報告のための費用のため、使用する。
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