2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24621008
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中村 洋一 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (90180413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 光章 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (20275283)
高野 桂 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (50453139)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アストロサイト / エネルギー代謝 / グルタミン酸取込み / ギャップジャンクション阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞の周囲を取り囲んで,脳全体のエネルギー代謝の要となっているアストロサイトの細胞機能が種々の薬剤により変化することは,アストロサイトの細胞機能変化が睡眠/覚醒のモードを切り換える役割を演じている可能性を示唆している。前年度までに,神経栄養因子類の産生がイミプラミンやアンホテリシンBにより変化すること,ドーパミンやLPSによりEC-SODの発現や活性が変化すること,テオフィリンがNO産生を増強すること,などを見出すことができた。 平成26年度には,ギャップジャンクション(GJ)阻害剤であるcarbenoxoloneやoctanolにより,グルタミン酸(Glu)取込み活性が有意に増強されることを見出した。またその機構の詳細は不明であるが,細胞表面をビオチン化してアビジン沈降して得られる画分の免疫検出により,細胞表面膜に発現する輸送体GLASTの量が増加する可能性を示唆するデータが得られた。 Gluは最も広汎に存在する興奮性伝達物質であるが故にその取込み活性を担うアストロサイトの細胞機能調節は重要である。GJ阻害剤によりGlu取込み活性が増強されることは,脳全体の興奮性神経活動が抑制され,覚醒レベルの低下の原因となりうる。アストロサイトは周囲の細胞とGJにより結合しており,細胞相互の代謝物の交換や情報伝達の手段となっていると考えられている。それらの相互作用の程度が抑制されることにより,それぞれの細胞がグリコーゲン(エネルギー)の消費モードから蓄積モードにスィッチされる可能性がある。実際の動物の睡眠/覚醒とアストロサイトの細胞機能との繋がりについてはこれからの課題となるが,本研究ではそれらの基礎となり得る仮説を提唱するものである。
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Research Products
(10 results)