2012 Fiscal Year Research-status Report
睡眠・覚醒とサーカディアンリズムを統合する機能的神経回路の解明
Project/Area Number |
24621012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮本 浩行 独立行政法人理化学研究所, シナプス分子機構研究チーム, 客員研究員 (90312280)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サーカディアンリズム / 睡眠・覚醒 / 視交叉上核 / 神経活動 / セロトニン系 / 前脳基底部・視索前野 / 睡眠障害 |
Research Abstract |
私たちの精神・身体機能は睡眠・覚醒という劇的に変化する脳状態に立脚している。さらにこの睡眠・覚醒もまたサーカディアンリズムという生体自らが生み出す24時間リズムに制御されている。脳深部の視交叉上核(SCN)は睡眠・覚醒サーカディアンリズムの生物時計だが、SCNからの信号がどこに伝えられどのようにして睡眠・覚醒のサーカディアンリズムが形成されるのかという基本的な神経システムの理解は、睡眠、サーカディアンリズム双方の複雑さゆえ困難であった。 私たちは神経伝達物質セロトニンの急速・選択的な除去法を開発し、ラット睡眠・覚醒のサーカディアンリズムが崩壊することを見出した(Nakamaru, Miyamoto et al., Eur J. Neurosci)。さらにラット脳各領域の神経活動解析と薬理学的操作の結果、SCNからのサーカディアンリズム出力が、睡眠・覚醒を直接的に実行する前脳基底部・視索前野 (BF/POA) 領域で統合され睡眠・覚醒サーカディアンリズムが生み出されると結論した(Miyamoto et al., J. Neurosci)。 不眠、うつ病、リズム障害、セロトニン系は強い関連が知られているが、本研究はこれらを統一的にシステムとして理解する枠組みを与えると考えられる。今後睡眠や生体リズムの生物学的意義を神経活動、神経回路に基づいて理解を進めることによって脳機能の制御や設計に貢献すると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の根幹をなす脳セロトニン除去法開発に関する論文とセロトニン系によるサーカディアン振動体と睡眠・覚醒の時間的統合に関する論文を発表したことが評価の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究計画に基づき神経活動と神経回路に重点を置いて研究を進める。一方で睡眠・覚醒/サーカディアンリズムと神経可塑性とのかかわりや精神疾患との関連をモデルマウスを用いて探っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を推進する上で中核となる論文受理のための実験・解析に多くの時間を費やしたため、それ以外の研究には遅れが生じたことにより次年度使用額が発生した。今後実験消耗品や動物飼育の費用、学会出張等に使用する計画である。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Selective control of inhibitory synapse development by Slitrk3-PTPδ trans-synaptic interaction.2012
Author(s)
Takahashi H, Katayama K, Sohya K, Miyamoto H, Prasad T, Matsumoto Y, Ota M, Yasuda H, Tsumoto T, Aruga J, Craig AM.
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Journal Title
Nature Neuroscience
Volume: 15
Pages: 389-398
DOI
Peer Reviewed
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