2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳山 豪 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (40312631)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アルゴリズム / 計算幾何学 / アドホックネットワーク / 動力学的構造 |
Research Abstract |
平成24年度には、一般化局所近傍グラフ、ブリエルグラフなどの幾何学的グラフにおける文献基礎成果を拡張して、通信先の位置が未確定である場合の幾何学ルーティングの実現と、移動物体ネットワークの頑健性検証を可能な限り局所的に行い、その効率性の理論保証を与えるという問題を、世界に先駆けて解決することを初年度の目標とする。更にそれをキネティック構造として必要な検索機能や変更機能を持ったシステムとする検討を行う予定であった。 これに対して、上記課題で重要な技術であるネットワークルーティングに関して、従来の技術を統合する視点から新しい設計法を提案した。この成果はアドホックネットワークに関するアルゴリズムの国際会議ALGOSENSORS2012に論文が採録された。この学会では、Magnus Halldorsson(PC Chair)らと技術交換し、Halldorsson氏は2013年4月に来日し、松島で研究代表者が主催する国際研究集会AAAC2013で招待講演を行う事としている。 また、東北大学での災害科学機構と協力し、現実の震災災害時のアドホックネットワーク構築に必要な要件、機能を調査し、その数理モデル化とシミュレーションに取り組む。予定であった。 研究代表者は東北大学にネットワークアルゴリズムセンターを設立し、このような調査を可能にする機構作りを行った。また、ERATOの巨大グラフプロジェクトと共同でセミナーを開始し、既存技術のサーベイを行う体制を築いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代のネットワークの基本要素として、また、災害時緊急ネットワークとして、アドホックネットワークは非常に大きな期待を持たれる情報通信形態である。これは、幾何学的に配置され、移動する情報通信ノードが互いに通信するネットワークであり、計算幾何学で用いられる様々な幾何学的グラフが用いられている。しかし、移動幾何構造としてのアドホックネットワークの理論解析は現状では未開であり、本研究では、キネティック(動力学的)な移動体管理の理論手法を取り入れた新しいアドホックネットワークの理論的手法体系を世界に先駆けて実現することをめざし、次世代スマート社会での実用化に貢献することを目的として研究を進めている。 本テーマに最も深くかかわる国際学会ALGOSENSORSに論文が掲載されるなど、着実に論文発表を行っており、テーマであった理論研究に関しては十分な成果である。現実のシステム実装に関しては、研究代表者は東北大学にネットワークアルゴリズムセンターを設立し、その主催者として、現実のアドホックネットワークのインフラストラクチャに関わる研究者との相談や意見交換を開始しており、この点でも予定通りの進展を行っている。 更に、サーベイのセミナーを国内の他研究組織と連携で開始し、テレビ会議システムを利用した全国配信を行う実績を上げており、順調な研究経過である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、平成24年度のテーマをさらに深く追及するとともに、その統合による現実のモデルに即したアルゴリズム設計を行う。 研究交流を本格化し、Halldorsson教授をはじめとする研究者を東北大学に短期招聘し、本萌芽研究が実際のアドホックネットワークの設計につながるための理論の構築への共同作業を行う。ここでは、さらに一般化し、多目的最適化問題を幾何学的な交差グラフで効率よく解くための条件を整備することをテーマにすることを予定している。 更に計算幾何学の分野で研究協力を行っている韓国、中国、香港等のアジアの研究者とのワークショップを開催している。開催費用自体は本研究以外の資金を利用する予定であるが、研究者招聘等に本研究費を活用する。一方で、開発したアルゴリズムが現実のモデルで利用する場合の問題点についての検討と解析を、東北大学情報科学研究科の加藤寧教授、電気通信研究所の安達教授を中心とした東北大学の通信ネットワークの研究者との議論を行い、さらに実用に向けたモデル化の改良を行う。また、大学院学生をRAとして採用し、シミュレーションの実験を大規模化する。ここでは、現在までに開発したアルゴリズムを実装するとともに、代表的なMANETのプロトコルとの相性の検証を行う。 平成26年度は、上記の体制の研究の継続を行うとともに、震災復興プロジェクトとの協調のもと、可能であれば実システムのプロトタイプを用いて成果の検証を行う。 また、平成26年度にはACMの計算幾何学国際会議(SOCG)を日本で開催する招致をする予定があり、その周辺で、ワークショップを開催し、本研究テーマに関する研究成果を発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は資金の一部のみを使用し、25年度以降により活発な活動を行う。 9月にフランスで開催予定のALGOSENSORSに論文を投稿する予定である(予定経費:35万円)。また2014年1月にダグスチュール研究所で開催するワークショップに出席(予定経費:35万円)し、その費用を本研究費から拠出する。 また、海外からの研究者の招聘を行う経費を拠出(計40万円程度)し、プログラミングを行う学生への謝金を拠出(20万円程度)する 予定である。
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Research Products
(4 results)