2012 Fiscal Year Research-status Report
気管挿管における技能教育のための触力覚提示装置の開発
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24650047
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
葛岡 英明 筑波大学, システム情報系, 教授 (10241796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 淳 筑波大学, システム情報系, 講師 (80345157)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 触力覚ディスプレイ / バーチャルリアリティ / 手技教育 / 医療教育 / 喉頭展開 / 喉頭鏡 |
Research Abstract |
本研究では、気管挿管における喉頭展開のように、道具を利用する際に強い力を必要とする技能の訓練を支援する触力覚提示装置を開発することを目的としている。従来は、アクチュエータで道具を直接駆動することによって、道具を握る学習者の手のひらに力を知覚させて、正しい動作に誘導する手法が一般的であった。しかし、喉頭展開のように道具を強く握っている場合には、ウェーバーの法則に従って外力を感じにくくなるため、強い力で道具を駆動する必要があり、装置の大型化につながる。そこで本研究では、あたかも指導者が学習者の手を外側から握って正しい動作に誘導するかのように、学習者の手の外側から触力覚を提示することによって、小さい駆動力で効果的に6自由度の動作を誘導できる、外装型触力覚提示装置(Outer-Covering Haptic Display, OCHD)を開発している。 平成24年度はOCHDの学習効果を検証した。OCHDは学習者の手を強制的に動かすのではなく、動作方向を手の甲に提示することによって、学習者に自主的に手を動かすようにしむける点が特徴である。従って、アクチュエータによって直接駆動される道具に引っ張られるようにして手を動かす場合と比較して、OCHDを使用した方が学習効果が高いことが期待された。実験の結果、OCHDによって学習した方が、動作力の誤差が有意に小さいことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、まず6自由度の動作の誘導が可能なOCHDの開発を開始する予定であった。しかしその後計画を修正し、まずはOCHD方式が、動作の学習に有効であることを確認したのちに、設計・開発をすることとした。この実験のために、ばねと6軸力センサを利用して、喉頭鏡の動作に対して抵抗力を提示するとともに、喉頭鏡に加えられている力を計測できる装置を製作した。この装置の製作と本実験に至るまでに、予備実験と実験装置の改良を複数回繰り返したことにより、予想以上に時間がかかった。その後、6自由度のOCHDの設計を開始したが、マニピュレータを使ってOCHDを駆動するよりも、腕に装着するタイプにした方が良いと判断し、新たに設計をおこなっている。このために、当初の計画よりも開発が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、腕部装着型のOCHDを設計・製作をし、弁別閾の実験と動作学習の実験をおこない、その有効性を確認する。また、マスタースレーブ操作によって、指導者がOCHDを操作できるようにする。マスターは、喉頭鏡に磁気センサもしくは6軸慣性センサをとりつけたものを利用することを検討している。すなわち、指導者がボタンを押しながらマスター喉頭鏡を動かすと、その方向の触力覚を提示するように、OCHDを制御する。このようにすることによって、装置を簡略化し、実用性を高める。 マスタースレーブ操作による教示の他に、学習者の喉頭鏡の動きを判定し、正しい動作に自動的に誘導するためのアルゴリズムを開発する。これによって、必ずしも教示者がいなくても、学習者は一人で練習できるようになる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算のほとんどは、腕部装着型OCHDの製作、調査、論文発表に使用する。まず、腕部装着型のOCHDを製作するための部品代、加工代として約80万円を計画している。部品は主に、モーター、ギヤ、金属部品、電子部品などである。また、人とコンピュータのインタラクションに関する国際会議(CHI)や人と人の協調作業に関する国際会議(CSCW)において、情報収集や発表をおこなうために、国内出張を含めて約56万円使用する。次年度は査読つき論文誌に論文を2本採択されることを目標としているため、掲載料として10万円を計画している。
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