2012 Fiscal Year Research-status Report
聞き手との相互行為的調整に基づく発話生成システムの研究
Project/Area Number |
24650053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
岡田 美智男 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50374096)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発話生成 / 非流暢性 / 社会的ロボット / 聞き手性 / 社会的相互行為 |
Research Abstract |
言い直しや言い淀みなど、自然な発話における非流暢性は、その要因を話し手の内部の生成メカニズムに一方的に帰属させ、説明することが多い。一種のアクションスリップとして言い誤りが生じ、それを修復する行為として言い直しが生じるという説明である。本研究では、発話は話し手と聞き手との相互行為的な調整の結果として組織されたものと捉え直し、これらの観点から、(a)聞き手の存在を予定しつつ、その聞き手との相互行為的調整に基づいて発話の組織化を行う、発話生成システムを実現すること、(b)この発話生成システムを用い、発話における非流暢性を生み出す要因やその役割を構成的に明らかにすることを目的としている。 本研究計画の初年度となる本年度は、聞き手との相互行為的な調整に基づいて発話の組織化を行う発話生成システムの詳細を設計し、そのプロトタイプ(Talking-Ally)を構築して基本動作を確認した。ハードウェアとしては、ロボットの視線の動きを生成するために超音波モータを使用したモジュールの開発を行った。また、発話生成システムからの発話と聞き手の視線回復等の関係を分析し、本提案手法の有効性を確認した。 これらの結果を、社会的ロボティクスに関する国際会議(ICSR2012)で口頭発表するとともに、ヒューマン=ロボットインタラクションに関する国際会議(HRI’13)で本システムのビデオ発表を行った。国内学会でも、ヒューマン=エージェントインタラクションに関するシンポジウム(HAI2012)で対話発表、ヒューマンインタフェースシンポジウム(HIS2012)で口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画に記した内容はほぼ達成できていると考えている。具体的には、(a)聞き手との相互行為的な調整に基づいて発話の組織化を行う発話生成システムの詳細を設計し、そのプロトタイプ(Talking-Ally)を構築して基本動作を確認することができた。(b)ハードウェアとしては、ロボットの視線の動きを生成するために超音波モータを使用したモジュールの開発を行った。(c)発話生成システムからの発話と聞き手の視線回復等の関係を分析し、本提案手法の有効性を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に構築したプラットフォームを用いて、発話における非流暢性がどのような会話調整行動として機能しているかを構成的に明らかにする。具体的には、次のステップを繰り返し、分析とシステムの洗練化を行う。 (1) ELAN等のアノテーションツールを用いたエスノメソドロジー的な分析:本発話生成システムと〈聞き手〉であるユーザーとの相互行為的な調整の結果として立ち現れる発話の非流暢性に関して、時間軸上で詳細なアノテーションによって現象の整理を行う。 (2) 発話生成システムからの発話生成のタイミングと〈聞き手〉の随伴的な行動に対するコレスポンデンス分析:ターン開始要素、発話構成単位のモダリティ、発話末のモダリティ、発話停止・リスタートなど発話内容を統制しながら、〈聞き手〉のどのような随伴的行動を引き出しているかをコレスポンデンス分析によって調べ、発話の非流暢性の会話調整機能としての役割を明らかにする。 (3) 上記の分析結果を反映させて、ターン開始要素、発話構成単位のモダリティ、発話末のモダリティ、発話停止・リスタートなどの発話内容を洗練化し、(1)-(2)-(3)の分析・洗練化を繰り返す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1) 平成25年7月に開催予定の国際会議(HCII2013)のための2名の旅費、 (2) 国内で開催される国際会議(iHAI2013)、関連学会での発表旅費、 (3) 研究プラットフォームを改良するためのロボット構成部品購入費、 として使用する予定である。
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Research Products
(9 results)